B・B・キング『レッド、ホット&ブルース』(WOWOW、04/08/22放映)

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……B・Bは「ブルーズ・ボーイ」の略だったんですな。いま放映してる『WOWOW JAZZ FILE/B・B・キング』のピーター・バラカン氏の解説で知った。ファーストネームの略かと思ってた。
オレは別にブルーズに詳しいワケじゃないので、本作の詳細は公式サイトWOWOWのページ、あるいはもう一度検索でもなさって、識者の御意見なぞ参照して頂きたい。
しかし、半可通でも充分楽しめる内容だった。なんつっても、トム・ジョーンズジェフ・ベック(!)の珍しい顔合わせで、延々ブルーズセッション+談義をやらせるって趣向がたまらない。両人にとって思い出深いブルーズ名曲聴かせながら、カラオケ屋の10代バンド兄ちゃんよろしく、ふたりが唄い、ギターをつまびいたりもしてくれて、ファンならずともワクワクしてしまい。超一流のお人でも、昔はステレオに向かって唄ったり一緒にギター弾いてみたりと、モロ中坊リスナーじみたコトもやってたんだって、親近感湧きまくり。
トムさん、特にミーハーぶり発揮しまくりで。
「ここで半音あがるんだよ!」
「ほらほら、よく聴いて、ここ、ここ!」

ジェフ・ベック、その横でニヤニヤ、口数少ないかわりに、無心にレコードと伴奏。う〜ん、イイ画だ!
両人以外でもメンツはとにかくスゴイ。ヴァン・モリソンエリック・クラプトンジョン・メイオールスティーヴ・ウィンウッド、ジョージー・フェイム、故ロニー・ドネガン、バート・ヤンシュ*1、ルル、そしてB・B・キングといった具合。
彼ら生ける英国ブルーズの立役者が、かの国におけるブルーズの伝来、そして進化/深化の半世紀を熱く物語る。本場アメリカから輸入されたブルーズが英国ミュージシャンによって熱狂的に受け入れられ、やがて「逆輸出」していかれる過程が、滅多に映像では見られない超大物ミュージシャンの貴重な証言によって明らかにされていくワケだ。音楽ファンなら必見ものといえよう。もちろん、マニアにとっては既知の情報の再確認でしかないかもしれないが、こういった本格的な形で映像記録として残るというのが素晴らしい。
ちなみに、いわゆる英国3大ギタリストのうち、ベック、クラプトンは出ているのに、ジミー・ペイジだけがうまくオミットされているコトに気付き、ニヤニヤ。ビートルズストーンズ、クリームの名前は挙がってるのに、レッド・ツェッペリンの名前は誰も挙げてない。おそらく、インタビューで名前が挙がってもあえてカットしたのだろう。白人によるブルーズ搾取の典型バンドと一部で揶揄されるZEP、こういう本格的なブルーズ検証作では実に旗色悪い。悪例としてで引き合いに出されてもよかったのに(笑)*2
監督はマイク・フィギス。英国ブルーズの出世曲(と、本編中でクリス・ファーロウが証言)を冠した、スティング主演の『ストーミー・マンデー』等、自分で音楽も手掛け、ジャジーはたまたブルージーなムード派作品で鳴らす才人。オレ、昔から意外と好みですね。デジタルキャメラ駆使して画面4分割同時進行という映画撮ったりと、妙なトコで方法論先行タイプでもあり、構成的に失敗してる作品も目につくけど、本人的にはアレ、映画を使ってインプロしてる気分なんじゃないかなぁ? あんまり遊ばれても困るワケだけど、本作は十八番の音楽モノ映画のせいか、マジなつくりで好感度大。


*1:字幕では「ジャンシュ」になってた。字幕は定評ある石田泰子だが、惜しい!

*2:あ、オレ自身にとってはZEPこそ自らの原点、最愛バンドのひとつですけどね。ピーター・バラカン先生とかにいくらけなされても絶対支持。ブルーズの「悪用」、つうか「無断借用」については批判あってしかるべきかも、と思ったりはするけどね。