ピート・タウンゼント『キッズ・アー・オールライト』

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学生時代以来、ビデオで見るのがイヤさにずっと見逃していたロック名作映画、ようやくDVDでゲッツ。かつて『ベストヒットUSA』等で見た抜き出し映像の薄汚れた雰囲気なんざ完全一掃、どこの場面もやたらぴかぴかてらてら、ピート&キースはヤクでイッてる眼光ぎらぎら……と、やけに生々しいリストア映像が目にまぶしすぎて大興奮。気付けば、モニター前でエアギター、 ウィンドミル奏法の練習してるボンクラ一匹。
しかし、オレもキースが死んだトシになっちまってるんだなぁ、しみじみ。もちろん、当時の様子なんざ知らないけどな。その頃のオレのヒーローはジュリー、沢田研二だったから。帽子飛ばして大声で部屋中走り回って唄ってた……今もあんまり、変わらないか(爆)
特典ディスク収録のロジャー・ダルトリーのインタビューもしっかり見参。若き日の貴公子然たる鋭角的な容貌はどこへやら、頬にはあばたなオッサンぶり、知ってるつもりでいたものの、実際目にするとやはり悄然。語り口はロックスターらしさがほとんどなく、下町育ちの元工員ならではと云うべき、淡々飄々としたもの。目つき物腰がこれほどロックシンガーらしくない、いや、ミュージシャン臭がないヒトはいないのではないか? 本人がピートを評して云ったとおり、あの輝かしいパフォーマンスも、究極的に彼の「仕事」だったってコトかもしれないな。そう考えれば、新たに別の尊敬の念も湧き。

「ボーカリストはみんな、自分の声を聴くのがイヤでイヤで仕方ないもんさ。ジョン・レノンもそうだった。違うのはロッド・スチュワートくらいだ(爆)」

亡きメンバー、キースとジョンのコトを語るときは、さすがに目がうるんで見えた。思わずこちらも貰い泣き。

「キースはとにかく、『ドラマーが前、ボーカルは後ろ!』って考えてたんだよ。ドラム壊したのも何でもいいから前に出て、目立つためさ」

巷では初来日とかまびすしいが、キースもジョンもいないザ・フー、しかもやはり「Don't Trust Thirties !」と唄ってたロック精神伝道師が、その倍近い老身に鞭打つ姿を見るなんて、今のオレには忍びない。しかも、単体ならともかく、ほかのバンドと抱合せなんて……正直、行く気はハナから萎えていた。
それにつけても、キースの八方破れな破天荒ぶり、何度見ても驚天同地、気付けば拳ふりあげて、腰も動いて足もぴょんぴょんはねまくり!  
世界にあまねくロックファン、みんながみんな、知らないヤツまで知ってるさ! アンタこそ、世界最高最強のロックドラマーさ!!!