ブギ浮きイカす邦題100選<その5>+駄目ジャケ100選<その8>:エイジア「詠時感〜時へのロマン」

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原題:「Asia」
直訳:アジア(顔触れだけで売れる思ったんやろが、ええ根性しとるのぅ)
乖離度:★★★★(担当者ごっつぅねじり鉢巻きや! )
難易度:A(まぁ、しょせん白紙の解答用紙や。埋めた勝ちや)

「当て字」にもほどがあるっつぅの>詠時感 担当は古文が得意だったとか、とにかくブンガクかじってたなぁ間違いないね。「詠みて時を感じる」と書いてエイジアと解く、たぁ驚いた。はたして、そのココロは? 大仰なだけでべつに意味なし!
エイジアゆうて大層にもったいつけてネイティヴな発音してくさるけど、要は「アジア」やん! しかも、バンドメンバーに東洋系なんてひとりもおらへんで? 皆みな、ツラもガラもよくない、英国親爺どもじゃからのう。
80年代プログレ不毛時代、いわゆる英国プログレ5大バンドの3つから集まった4人組、イエスからスティーヴ・ハウジェフリー・ダウンズ、ELPからカール・パーマー、そしてキング・クリムゾンからジョン・ウェットン
聴きものはウェットンの泣きのメロディ、イエスつうより元バグルズといったほうが聞こえがいいダウンズのポップセンス。そうなると、自然と浮いてくるのが、プログレ一直線なハウとパーマーの大仰なプレイ。曲は悪くないけど、しょせんは軽々ポップソングや、そんなに細かくキチキチと、てめえの見せ場ばかり強調したような演奏されてもしゃあないんで?
スーパーバンドなんてな、しょせん長続きしない。案の定、2枚目でメンバー間に亀裂が入り、何でも巧く弾き過ぎで引かせまくり、融通きかないハウが真っ先に脱退し、コレを契機にバンドも空中分解。
リーダー格のウェットンは、先に結成したUKで果たせなかった商業的成功は得たものの、バンド運営の才なきことを露呈。ハウとダウンズの音楽的主導権の奪い合いをうまく制御するコトができなかったのだ。え、パーマー? あいつはドラム叩いて、Tシャツ脱ぎ捨てるだけが取り柄の筋肉バカだからさ、ハナから関係ないんよ。
音とは全然関係ない、東洋風な竜のジャケ、ホントだっさいなぁ。コンセプトもナニもないからな。アジア→中国→竜、、、でっか? ノリと勢いだけの発想やろ、しょせん。遠近感つうかスケール感も全然ないしな。水槽で竜がはねてるみたいや。ジャケ見るだけで萎えるわ。そらぁ、プログレってバカにされるよなぁって。
最初に出たCDは音がまた粗悪の極みでしてなぁ。リリースされるCDの録音状態を厳しくチェックしていた「ステレオ」では、忘れもしないサイテークラス、「6.5」でしたわ。ボリューム必死こいてあげて聴いてたの思い出すわ。現行盤はリマスターされてたけど、元が元やからなぁ、ま、期待できんな。


ところで、往生際の悪さはプログレの十八番。エイジアも90年代、今度はダウンズが仕切る形で再始動。来日公演はオレも行ったが、ハウの流麗なクラシカルなプレイをぶちこわすにするハードロック系弾き倒し新ギタリストに終始イライラさせられた。それを尻目にウェットンは弾き語りでキング・クリムゾンの「ブック・オブ・サタデイ」をニタニタ歌いあげ、ダウンズはピアノをステージ前面に出して「ラジオスターの悲劇」やるなど、懐メロ大会爆発。え、パーマー? だからあいつはバスドラ足で叩きながらまたTシャツ脱いで上半身裸露出してただけ。アホは死ぬまで治らん、ほっといたれや!
エイジア自体は今もダウンズが勝手に続けてるけど、やっぱこいつはバンドを仕切らせたらあかんと思うな。テクニックとつくる音色にかけては、単純なオルガンコード弾きしかできんトニー・ケイ、音数だけの曲芸クラシック野郎リック・ウェイクマンとも違い、イエス史上でもパトリック・モラーツと並んで歴代最高の才人ではあったと思うんだけど、いかんせん、ヘンなトコで「商売」やろうとしすぎるんやろな。ミュージシャンは頭だけで勝負しようとしたらあきまへん。
プログレのミュージシャンは下手に演奏能力高かったり、音楽家としてはそれなりに出来はいいから、なまじ生き残ってしまって、晩節を汚すという観ありあり。エイジアはその典型。<恐竜ロック>だとか生きる化石みたく、バカにされちまってよう、見てられなかったぜ。テクふりかざしたこけおどし演奏じゃあロックたぁ云えない、「グルーヴ」しないと。70年代のプログレには、肉体的なグルーヴはともかく、脳内に知的な「共振」を誘う力はあったが、結局、時代の産物だったのかどうか、長続きはしなかったなぁ。キング・クリムゾンは80年代の「ディシプリン」三部作以上のモノを世に出すことはできていないし。*1デビュー当時から変わらず世間離れした音楽やり続けてるゴングあたりが、真の生涯プログレを自然体で貫いてて、一番エラいバンドかもしれないなぁ。ロバート・ワイアットとかもね。

詠時感?時へのロマン

詠時感?時へのロマン

*1:大鷹俊一氏あたりが70年代復活風だからという単純な理由で、近年の“ヌエヴォ・メタル”クリムゾンだけ評価するのはちゃんちゃらおかしい。大鷹氏は書き手としてはムダに熱いトコが笑えて好みだが、認識は受け入れられないコト多々。