ブギ浮きイカす邦題100選<その3>:キング・クリムゾン「太陽と戦慄」

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原題: 「Lark's Tongues in Aspic」
直訳: ヒバリのアスピック中の舌(Excite翻訳)※アスピック=肉汁、ゼリー
乖離度: ★★★★(……意味、わかります?)
難易度: C (プログレやからゆうて大仰にしたらエエもんちゃうがな!)
ロック界最凶の<偉大なる詐欺師>、フリップ卿が放った、いわゆる中期クリムゾン三部作の第1作にして、おそらく最高傑作。
引き入れたはいいが、悪役レスラーばりにチェーンぶんぶん振り回すなどステージでは暴れん坊将軍、さしものフリップも持てあましたという狂才ジェイミー・ミューアのパーカッションが要所で鳴り渡る!*1
で、題名やけどね……正味、どうやねん、コレ? いわゆる、「手術台の上のミシンとこうもり傘の出会い」*2ってヤツでっか? あえて異質の言葉をふたつ並べるという<違うちがう!
まぁ、シンプルに、ジャケ見て決めたんやろな。

「なんやこれ! 太陽と月がドッキングしてるぅ! なるほど、こりゃ『陰陽合一』ゆうやっちゃな。毛唐が生意気に、東洋趣味やないかい! 
じゃ、題名は『太陽と月』か? あかんあかん、まんまや。さすがにひねりが要るわ……月、つき、月みれば千々にものこそかなしけれ……『狂気』? あ、アカンッ! ピンク・フロイドに使われとるがな! しかもこいつら、デビュー作は『21世紀の精神異常者』や! キチガイネタ続けるのも芸がないわ。
月か……月のもの? うわ、やらしいなぁ! つうかクリムゾンって色気のカケラもないからな。もしかしてホモかこいつら? むさくるしいヒゲメガネ中心にバイオリン以外汚い男ばっか集まりよって! こんなヤツらのプロモせなあかんのか……かなわんな、さぶいぼ立つわ……む、さぶいぼ? さぶい? 『さぶい』を漢字二文字で、コワいこわい風に書いたらなんや? そっか! 『戦慄』や! 『太陽と戦慄』! うわッ、オレ、天才ちゃうか! か、かちょ〜! キマリましたわ、題名!」

……どうせ、こんな具合に若い担当がテキトーに決めよったんや思うわ。もしかすると、一目みて思いついたフレーズかもしれへんな。
ヨタ書いてばっかもアレやで、ネタも書くとやな、手元の資料によればや、ドラムのブル公、ビル・ブルフォード

『ヒバリの舌』はやな、『優美・繊細』、『肉汁』つうのは『荒々しい』つう意味やねん。要するに、およそ互いに関係ない、相反するモノがミックスされてるゆう状態を現すねん。どや、わかったか!」

と云うてはる。なんやわかったような、わからんような解説やけどな。
まぁ、いずれにせよ、フリップのアホがナニをトチ狂ったか白魔術の魔女とイチャイチャしよったあげく、「お告げが下ったぞゴルア!」と勢いで知り合いムリムリ掻き集めてつくったアルバムやからな。発端からしてどっかオカしいねん。マトモに相手したらあかん。
まぁ、プログレなんてそんなンばっかですけどな。やっぱキチガイがやる音楽はやっぱどっか違う感じがしてよろしいなぁ〜、、、なんてヘラヘラ笑いながら聴いてまんねや。そんなこっちゃから、ブルース・スプリングスティーンとディラン好きの最近結婚したばっかのダチから、会うたびに嫌味云われるんやな。
プログレマニアは、不幸せなヤツばっかりや! 人生間違ってンのや!」
……トホホ。

太陽と戦慄 (紙ジャケット仕様)

太陽と戦慄 (紙ジャケット仕様)

*1:ステージで狂いまくったあげく、客席に転落してそのままどこかへ消えた……などと伝説がひとり歩き。その後、アジアで放浪と修行生活の果て、現在はアーティストとして活動中とか。先年、インタビューを読んだが、フリップのごとく余人には理解不能な妄言怪説をこねたりもせず、きわめてまっとうな受け答えぶりに感心させられた。

*2:いっぺん使ってみたかったんよぉ〜コレ!<アホ