プロちゃん・グレたんの異論反論オブジェクション大放談!:第3回「イエス」

プロ「プロでぇーす!」
グレ「グレッす!」
プログレ「ふたり合わせてプログレですッ!」
プロ「前回はキング・クリムゾンやったせいか、わりかし反応よかったんです。お越し頂いた皆様、ありがとうございます!」
グレ「我々がヨタ飛ばせるのも、すべて皆様のおかげです。
そういうわけで、調子に乗って今回はイエスです!」
プロ「No! のぉぉぉ〜」
グレ「……お前、そんないまどき小学生でもやらんボケを!」
プロ「マジから始めると、こいつら基本はとにかく『ポップ』ゆうコトやろね。クラシック導入だの大仰路線に走ったのはタダの商売ですわ。なまじテクがあるヤツは時代に迎合するから始末が悪いね」
グレ「結局けなしから入るんかい! で、ファーストの「イエス」(69年)サイケデリック&フォークっぽいトコ、結構好きだけど」

ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)

ファースト・アルバム(紙ジャケット仕様)

プロ「手抜きジャケの典型。吹き出しっていつの時代のセンスやねん? こんな中途半端な音が受けるワケないっつの。コーラスとかが巧いだけならオフコースでもプログレやっちゅうねん」
グレ「たとえに出す例が古いな〜で、セカンドが「時間と言葉」(70年)。コレはわりかし好みでっしゃろ?」
時間と言葉(紙ジャケット仕様)

時間と言葉(紙ジャケット仕様)

プロ「裸のオナゴ出すんなら、奥にひっこめンな! 大体白黒や、よぅ見えンわ。テキトーな遠近法構図がダサい。ジャケのロクでもなさが音を象徴してるね。オーケストラ使ったり、しょせんロック野郎が劣等感丸出しや!」
グレ「でも、コレで名プロデューサー、エディ・オフォードと出会うワケで。で、サードが「ザ・イエス・アルバム」(71年)

サード・アルバム

サード・アルバム

プロ「1枚目と変わらん題名つけてる時点で萎えるな。軟弱そうなヤツがマネキン首囲んで座ってくさる。コレで前衛のつもりかね? 色気と知恵のなさがプンプンしてくらぁ!」
グレ「しかし、スティーヴ・ハウが参加して、音は激変したよね」
プロ「こいつはな、実はほかのメンバーに寄ってたかって掘られてたんや」
グレ「……え!? ネコやったン、ハウ!」
プロ「クリス・スクワイア&ビル・ブルフォードのリズム・セクションはプログレ界でも最強コンビやからな。抵抗できんねや。で、ジョン・アンダーソンはなよなよッと、あの美声で「ねぇ〜ン」云うて寄ってくと」
グレ「オォ〜ウゥ〜イエッス、We Areや・お・いッ! ってかッ?……お前、マジでアホやろ!!」
プロ「スティーヴの一糸乱れぬ鉄壁なプレイは、「ボクを寄ってたかっていぢめるバンドのヤツらに負けへんッ! うううッ!」って一心から生まれたワケや。「リレイヤー」で「Soon」(もうすぐ)ゆう曲があるやろ? アレは、アレまんまやねん。実はフランキーゴーズトゥハリウッドの「リラックス」と同工異曲やったちゅう」
グレ「クソボケのヨタは放っとこ。で、次が「こわれもの」(71年)「危機」(72年)の2大傑作。アレ、でもコレ邦題がちょっとヤバいな?」

こわれもの

こわれもの

危機

危機

アホ「バンド内でスティーヴはこわれもの扱い、でバンドの危機になってん。ソコへまた登場したのが、いかがわしいデカブツ・キーボーディストや!」
グレ「リック・ウェイクマン! こいつはたしかに、インチキ臭い格好やし、演奏もあやしすぎ」
プロ「ハウ&ウェイクマン、クラシカルな演奏を華麗にキメられるコンビがあったからこそ、イエスは天下取れたワケやろけどな。ジョン・アンダーソンボーイ・ソプラノ風美声がまたそういうヨーロッパ美意識むきだしな音世界にハマッたワケや」
グレ「で、ライヴ・アルバム「イエスソングス」(73年)が集大成で歴史的名盤」

ソングス

ソングス

プロ「ロジャー・ディーンの童話+少女マンガ系やおい世界観爆発なジャケの魔力に、免疫力ないロックファンがどんどん引きずり込まれていったワケやな。演奏はジャケ同様、こけおどしの極みなんやけどなァ。オレがむかつくのは、スティーヴの取り合いに負けたビル・ブルフォードが脱退したコトやねん」
グレ「だからハウは関係ないって。詐欺師ロバート・フリップに抱き込まれて、キング・クリムゾンに入ったんだっつの」
プロ「受け口出っ歯より、卵顔薄唇のインチキ親爺を選ぶかね、ふつう」
グレ「やおいから離れろっての! ブル公の代わりにイエスにはアラン・ホワイトが新加入。この後はずっとドラマーとして君臨するワケだけど、プレイはビル・ブルフォードより堅実なだけで、面白みはゼロだよな」
プロ「イエスファンの間でもそのへん評価分かれまくり。オレは断然、ビル・ブルフォード派。単体ドラマーとしての才能が違いすぎるやろ? あのな、鉄壁なリズムキープに、どんなフレーズでもクセなく叩けるってなエラいかもしれないけど、正味の話が一ミュージシャンとして、ピンでどれほどの存在感を示せるかどうかが肝心や思うのよ。ビル・ブルフォードはイエスキング・クリムゾンで一時代を築いたうえに、ソロワークでも素晴らしい仕事残してるけど、アラン・ホワイトはセッションばっかで、しかも個性が際立ったプレイなんて残してへんやん? 
自分を前面に出さないセッション・ミュージシャンも大好きだけど、やっぱ評価されるのは、自分ならではの「個性」をリスナーにどれだけしっかり刻み込めるかにかかってるように思うのな」
グレ「……さすが、以前プログレサークルでいぢめられただけあって、熱弁ふるいまくりやね」
プロ「やかましい、ほっとけッちゅうねん! 話、戻そうや。で、次がチョー大作「海洋地形学の物語」(73年)

海洋地形学の物語

海洋地形学の物語

グレ「インチキクラシックヲタ、ウェイクマンの悪趣味全開。単に、冗長!」

プロ「エエのはジャケだけ。で、コレでウェイクマンは用済みで脱退、次の「リレイヤー」(74年)で入ったヤツが凄かった。人呼んで、スイスの冨田勲!」
グレ「パトリック・モラーツ! 一言、天才やね。いきなりポリリズム炸裂! 度胆抜かれまくり。イエスが一挙にキング・クリムゾン化した(笑)」

リレイヤー

リレイヤー

プロ「コレでビル・ブルフォードが戻ってくれてたら、モラーツとのコンビ、完璧やったやろけどね。昔、先輩にあんな複雑なリズムはアラン・ホワイトしか叩けない、なんて講釈されたけど、絶対ウソやね。ビル・ブルフォードは自分のフレーズとリズムでしっかり叩き切ったハズ。そんなン、ブルフォードとモラーツのコンビ作を聴けばわかるこっちゃ。まぁ、アラン・ホワイトも頑張ってるつうか、コレだけ変拍子叩ける時点で凄いワケだけどさ。ヤツの才能もわかる一枚ではあるね」
グレ「ハウもスクワイアも狂いまくったプレイで凄いよな。でも、こんなテンションは長く続かない。3年後、なぜかウェイクマンが復帰して「究極」(77年)「トーマト」(78年)を続けて発表。ジャケはヒプノシスですよ!」

究極(紙ジャケット仕様)

究極(紙ジャケット仕様)

プロ「「究極」って露出狂男がビル前建ってるヤツな。イエスは基本的に<ポップ>なバンドってのが、改めてわかる2作ではあるけどな。アレンジはゴテゴテ飾り立ててるけど、曲は意外と親しみやすい。ただ、元の素材が良くても、料理の仕方を間違えるとロクでもなくなる。この2枚より、後で出たライヴアルバム「イエスショウズ」(80年)聴いたほうがまとめにはなるな。イエスは実質、ココまでや」
グレ「「ドラマ」(80年)バグルズ+イエスだもんな。コレ実現したスクワイアのセンスが凄いし、アルバム自体の出来はイイよね?」

ドラマ(紙ジャケット仕様)

ドラマ(紙ジャケット仕様)

プロ「トレヴァー・ホーンジェフリー・ダウンズの才能やろなぁ。あと、このアルバムのハウのプレイは素晴らしいね。大仰なアレンジするなら、ココまで緻密に組み上げてこそやと思うな。コレはマジ、傑作!」
グレ「さて、この後がバカ売れした新装開店作ロンリー・ハート(90125)」(83年)、そして「ビッグ・ジェネレイター」(87年)

ロンリー・ハート

ロンリー・ハート

プロ「イエスジェネシス化した2枚(笑)「ドラマ」に続いてプロデューサーのトレヴァー・ホーンが仕掛けて、新加入の南アフリカ出身の天才トレヴァー・ラビンに万端仕切らせた、って具合。そういう意味でもイエスじゃなくて、最初のユニット名どおり、<シネマ>と呼ぶべきだな。ディシプリン=80年代キング・クリムゾンと同じ」
グレ「トレヴァー・ラビンはライヴじゃあの名曲「ラウンドアバウト」のいかにもハウ節なしちめんどくさいリフを、さわやかなカッティングで処理して突っ走った! ギタリストとしてのセンスも大したモンだった。ただ、連投が効くタイプじゃなくて結局失速、今はB級映画音楽家に成り下がって残念!」
プロ「さて、この後が面倒だ。オレは飛ばす(笑)」
グレ「ジョン・アンダーソンのありがた迷惑な博愛精神暴走! メンバー全員参加の8人編成の「結晶」(91年)なんてワケわからん。もはや、メンバーの余生保証バンドでしかないモンな」
プロ「しょっぱなのユニット、アンダーソン、ブラッフォード、ウェイクマン&ハウ(ABWH)「閃光」(89年)はわりかしイイんじゃねぇの? コレはウェイクマンも意外と健闘。ベースがトニー・レヴィンってのが最高だね。ブルフォードとのコンビは鉄壁無比! 曲調は甘すぎだけど、「究極」「トーマト」よりも出来はイイと思うぞ」

閃光(紙ジャケット仕様)

閃光(紙ジャケット仕様)

グレ「<シネマ>メンツに戻っての「Talk」(94年)、オリジナル5人での「キーズ・トゥ・アセンション」(96年)、新メンバー2名参加の「オープン・ユア・アイズ」(97年)「ラダー」(99年)「マグニフィケイション」(01年)とかあるけど、特筆すべき点はないな。
あ、そういや、トニー・ケイの話もしてないや」
プロ「オリジナルメンバーなのに存在感薄すぎるおっさんだよな。わりかしカッコいいんだけど。ピーター・バンクスって初代ギタリストも忘れてた。
しかしま〜「Talk」「オープン・ユア・アイズ」ってデビュー盤とほとんど同じデザインってな、どうやねん(萎)手抜きかアルツか、どっちかやな。なんつうか、老醜をさらしてる感じで、見てて辛いわ。人間、引き際が肝心やね!」

オープン・ユア・アイズ

オープン・ユア・アイズ

グレ「つうわけで、最後に一言」
プログレ「もうYESにゃ、ひたすらNO!」
(つづく)