『座頭市物語』第10話「やぐら太鼓が風に哭いた」

原作:子母沢寛
脚本:直居欽哉
監督:田中徳三
音楽:富田勲
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
天狗岩大八:中村光
原市の仁兵衛:神山繁
お千代:奈良富士子
赤岩の松五郎:中谷一郎
子分 政吉:山本清
子分 丑松:小美野欣二
弁天のお辰:弓恵子
相馬弥十郎中丸忠雄
磯風親方:田子ノ浦(特別出演)
ほか

座頭市勝新太郎)は、兄弟子の罪をかぶって親方の磯風(田子ノ浦)にお払い箱になった相撲取り、天狗岩大八(中村光輝)に、くし、かんざし、きんちゃくぐるみならぬ、飯八杯の大盤振る舞い。腹は減るし、銭はなし、一時は首つり自殺まで考えた大八であったが、市の情けに元気もりもり。追っても追っても命の恩人と勝手に市につきまとい、あげくの果てには、「やくざになりたい」と、とんでもないことを言い出す始末。とんだ拾いものに大弱りの市も、天衣無縫の大八には何を言ってもぬかに釘で、とうとうあきらめた。盆ござの上のいざこざ以外にも、旅をしていると、どこにどんな災難がころがっているかわからない。市は、強きをくじき弱きを助けるので評判の名親分、原市の仁兵衛(神山繁)を訪ねる途中であった。実は、仁兵衛こそ、大八が長年探し求める“瞼の父”。
 “仏の”と呼ばれるほどの、渡世の道には邪魔な善意がわざわいして、仁兵衛は、今ではすっかり落ちぶれていた。生活苦からまだ幼い大八を捨てた罪ほろぼしに、孤児のお千代(奈良富士子)を養女として育てていた。ところで、奉納相撲の勧進元は、長年仁兵衛が仕切っていたが、現在の零落をよいことに、相撲取り上りの赤岩の松五郎(中谷一郎)が、今年呼んだ江戸相撲の磯風部屋興業から、その株の権利をよこせと日夜強談判。一方、松五郎の賭場、女壺振り師弁天のお辰(弓恵子)のいかさまを見破った上、勝ちまくった市も、用心棒の相馬弥十郎中丸忠雄)以下赤岩一家につけ狙われるはめになっていた。そして…。