八木美知依&鬼怒無月@大泉学園<in F>

hibiky2005-11-03

遅まきながら、10月31日のライヴについて、僭越ながら御報告など。以下、ちょっと長くて申し訳ございません。。。

とにかく「百聞は一見に如かず」、実際に間近でパフォーマンスを拝見すると、凄まじさに打ちのめされて感動ひとしお。アルバムを試聴しただけではわからない底知れぬ「才能」、そして、まだまだ新たな音楽は創造し得るという「可能性」を感じました。

かの山口小夜子のスタイリングになる凄艶なジャケット写真とは御本人はかなり印象が違いました。
女性のことをあっしみたくボンクラ野郎がとやかく評するのはアレなんですが、古風な大和撫子でありながら、かつ、内から発する力強さを感じるカッコいい現代美女…とお見受けしました。いい意味で骨太な感じで、キリリとされてるんですね。実際、たくましい方らしく、御自身でも「指のアタックは誰よりも強い」なんてインタビューで語られてます。お声はやわらかで可愛らしいんですけどね。

で、ライヴの内容ですが、とにかく箏とは思えない超過激な演奏と音に驚愕させられました。指が忙しく弦を走り回るのはもちろん、スティックでばちばち弦を叩きまくったり、コントラバスの弓でこすったりと目まぐるしい。

今回は個人的に“日本最強”と信ずるギタリスト、鬼怒無月さんが競演されてるというのも感動でした。
八木さんの演奏に負けず、的確無比なバッキングで、時にフォローし、時に煽りたてまくる鬼怒さん、名前のとおり、まさに鬼のギタープレイ! 一音のムダなノイズも聴こえてこない超絶技巧はゾクゾクものでした。ほんの数メートル程のところで演奏されてるので、ピッキングの音もまんま聴こえて迫力満点!

第一部はお互いまずは手合わせ風、のっけから延々とバトルセッション。烈しさに打ちのめされて、終わった時は溜息もの。
休憩をはさんで、第二部になって、八木さんの新作「SEVENTEEN」の曲中心の演奏に。

語弊があるでしょうが、楽曲の雰囲気をわかりやすく紹介するとしたら、「太陽と戦慄」期キング・クリムゾンの最良の演奏を正しく想起させるというか。「静」と「動」の振幅の烈しさが聴きものでした。
鬼怒さんは基本的にはロック畑のギタリストの方だと思うんですが、ダイナミックすぎる箏の音を受けて躱して、見事な競演ぶりでした。フレーズは意識的にかロバート・フリップ風でもあった感じだが、全体にはカンのミヒャエル・カローリを彷佛とさせるというか。。。
あと、鬼怒さん主導でゴリゴリなブルーズも演奏したり。箏でブルーズまでフォローしてしまうとは、凄い! 

ハロウィンの夜にふさわしい「魔指」を持つ姫と鬼の競演、、、とでも申しましょうか。おそるべき音楽の“魔”に寸時取り憑かれていたような、終わってから、そんな虚脱感にとらわれました。

ビルの一室のジャズバーという小さなハコで、お客さんも15、6人で一杯といった状態でしたが、落ち着いて演奏が楽しめたとは思います。

御本人たちもリラックスして演奏に集中できていた印象でした。というか、演奏に入ると八木さん、黒髪乱れまくるのも構わず、終始、神に入るような雰囲気かもしだして、こっちまで見入られてしまい。

とにかく、素晴らしい演奏を楽しめました。好き嫌いは抜きで、感銘だけは受けるのは間違いなしではと。とにかく八木さんのライヴなら、今後も自信をもって、どなたにもオススメできますね。

……ちなみに、蛇足ながらその場で新譜も買わせて頂き、サインも頂戴しました。私は滅多にサインをねだったりしないのですが、この日だけはちょっと特別ということで。わざわざ油性のペンを借りて頂いたりして、お手数をかけてしまい、申し訳ないことでした。。。
なお、ミクシィでとある方から、当日御覧になってた別の方のレポートもお教え頂きました。無断にて恐縮ながら、リンクを張らせて頂きます。
http://home.catv.ne.jp/ff/pendec/
茶店を営まれている方だそうです。*1 八木さんの新譜をかけたりと随分洒落た雰囲気のお店っぽいので、いずれうかがってみたいと存じます。。。


最新作「SEVENTEEN」購入先:http://www.japanimprov.com/cdshop/goods/zipangu/zip-0019.html

CD、レーベル:Zipangu(日本)、CD番号:ZIP-0019、2005年10月発売。
箏奏者、八木美知依の『Shizuku』(1999年)以来のソロ・アルバム。通常の箏(13絃)の低音部分を補うために考案された17絃箏のみを使用。全8曲、クレジット上は八木の作曲となっているが、作曲作品と即興演奏を含む。多重録音も用いながら、ポップなものからアヴァンギャルドまで、いかにも八木らしい多様な音楽性が聴ける。17絃箏から引き出されるサウンドのみずみずしさと迫力が素晴らしい。2,500円(税込)



*1:もしかして、一番前で聴いてらした方でしょうか?