ジョニー・キャッシュ「Hurt」

今週の『PBS』は映画『歌追い人』に合わせて、ルーツ・ミュージック&カントリー周辺の音楽を紹介。毎度ながらピーター・バラカン先生のセレクションの趣味の良さに頭が下がる。
先頃亡くなったジョニー・キャッシュのPV「Hurt」も流されたのだが、コレ、見るたびに全身が総毛立つような気魄に満ちみちている作品。実はナイン・インチ・ネイルズのカヴァーと聞いて、さらに驚き。キャッシュが自己流に崩して唄ってるらしいんだが、ハマっているんだコレが。
監督は名手マーク・ロマネク。名コンビを組んでいるナイン・インチ・ネイルズつながりによる登板でしょうな。いかにも彼らしい、暗喩的というか、ダークなつくり。キャッシュが杯の水をぶちまけるシーンとか、いかにも作為的な演出とはわかっていても、見るたびにぞくり、と来る。冷静に見れば、PVとしてもそれほど完成度が高いという程ではなさそうなんだが、やはり死期を悟った男の存在感のすさまじさがとらえられているからかどうか、迫力が違うのだ、どこか。
つくづく、聴かねばならない音楽もまだまだ多い。
なお、『歌追い人』は、素晴らしい内容の映画だと思うので、興味ある方はぜひとも見に行くべきです。