2014/01/26放送「サンソン」より

以下、番組後半の一部ですが書き起こし*1ました。


録音をいちおう聴き直して確認したので、各所、微妙に言い方が違う程度でほぼそのまま起こせていると思います。ご参考になりましたら幸いです。諸問題等があるのは承知しておりますので、どうぞお手柔らかに。

【関連リンク】*2
ブログ<未来の自分が振り返る>様
→番組全体の書き起こしをされておられます。発言の流れがしっかり把握できるので、まずはこちら様をチェックなさって頂くのがベターのように愚考いたします。

山下達郎さん サンデーソングブック 2014年01月19日『極私的、青山純追悼特集 Part 1』
http://yamashitatatsuro.blog78.fc2.com/blog-date-20140119.html


山下達郎さん サンデーソングブック 2014年01月26日『極私的、青山純追悼特集Part2』
http://yamashitatatsuro.blog78.fc2.com/blog-date-20140126.html

…上記以外でもブログやtumblr上などで何名か、同様な書き起こしをされている方がおられます。皆さま、微妙ながら書き起こしの仕方が違うので、どうかそちらも参照なさってください。
なお、番組自体は某所の動画でも出てきますが、言うまでもなく書き起こし同様に著作権上の問題がありますので、ココではあえて貼りません。

「今までですね、いろいろなおたよりを頂いているんですけれども…何度か演奏メンバーを代えて参りました。そのたびにですね、先週もちょっと申し上げましたが、スタッフには反対されましたし、『以前のほうがよかった』という保守的なお客様も大勢いらっしゃいました。現在では押しも押されぬトップドラマーである青山純という人ですら、私が彼を起用した当初は、スタッフや聴衆から『なぜそんな無名のミュージシャンを使うのか?』と反対されたり、抗議されたりもしました。お客さんの中には文句を言って、それ以来こなくなるという方もいらっしゃいました。同じようなことが何度か繰り返されて現在に至っております。今もそうした情勢はあまり変わりありません。
 ボブ・ディランの『ノー・ディレクション・ホーム』*3という映画を見るまでもなく、芸事に対してのお客さんの保守性というものは大昔から存在しました。それは、芸事というのは、観る側にとっては自分の歴史の投影…自分史ですね。自分史の投影、自分史の対象化という、そうした結果であります。歌舞伎とか落語とか伝統芸能の世界だとですね、必ず『先代はよかった! お前の芸なんて先代に比べれば…』という、そういう『昔はよかった』というですね、まさに自分史の反映としての芸事の評価というものが昔からございます。
 ですが、古い世代というのは新しい世代に対する寛容さというのを常に持っていなければならないと僕は常に考えております。若い世代がいつの時代も続々と生まれてきます。われわれ古い世代はそれらの若い、新しい才能を見出して、抜擢し、助けて、日の当たる場所へ引っ張りだしてあげなければいけません。しかるに、多くの業界人、それから耳の肥えた聴衆とかお客さんですらもですね、自分に馴染みのある、自分たちにとっての、すなわち自分史の反映としての一流・有名・ミュージシャン、そうしたブランドを金科玉条と崇めまして、『昔はよかった。オレたちの時代はよかった。それにひきかえ今の若い者は…』としばしばそういうことを口にします。
 私のライヴに関しましても、ここ10年間、青山くんはいませんので、『青山純のいないライヴなんて…』という方も少なからずおられることを、私、ようく承知しております。別にそういう方々にですね、再び来て頂こうと思いませんが、ただひとつはっきりさせておかなければならないことは、今まで私を手伝ってもらったドラマー、上原裕や村上秀一、そして青山純、そして現在のパートナーであります小笠原拓海という、みな優れて卓越したドラマーであります。ほかにもスタジオやライヴで縁のあった林立夫さん、高橋幸宏さん、知己はないけれども最近だと吉田佳史さんとか玉田豊夢さんとか素晴らしいドラマーは今も昔もたくさん存在します。彼らひとりひとりの誰もが、それぞれにプレイヤーとしての個性や特殊性というものを有しておりまして、それらはもとより優劣の比較対象にならないものであります。したがって、ファンの贔屓、あるいは贔屓の引き倒し、何度も申し上げております自分史の反映、そうした次元での誰が誰より優れているとか劣っているとかいう無意味な評論家ごっこは、もとより私はなんの興味も持っておりません。
 友達の死というのは大変に悲しいし、残念な現実ですけれども、それでも我々は生きていかなければならないし、音楽を続けていかなければなりません。青山純の数多の名演というのはしっかりと記録に残されております。残された者は去っていった人々の思いを受け継ぎながら音楽を続けていかなければならないと思っています。
 …近いうちに大瀧(詠一)さんの追悼特集も企画する予定でおりますけれども、大瀧さんが亡くなってから後ですね、番組宛に『早く追悼特集をやれ』とか『追悼特集は誰も知らないレアアイテムをたくさんかけろ』とか『最低半年はやれ』とか、そういった類のハガキが少なからず舞い込んで参ります。ツイッター等のネットでも…私、そういうのは興味ありませんので見ませんが、そういう発言があると聞きます。そうしたファンとかマニアとかおっしゃる人々のある意味での独善性というものは、大瀧さんが最も忌み嫌ったものでありました。
 …え〜、親とか兄弟の関係が他人に説明できないように、僕と青山くん、僕と大瀧さん、そうした個人的関係もまた第三者に説明できるものではないし、説明したいとも思いません。したがって、追悼特集の迅速性とか密度というものに私はもとより全く関心はございません。そこのところ、あらかじめご了承いただきたいと思います。時期が来たら大瀧さんの追悼特集、やってみたいと思います。
 というわけで、長くなってしまいましたが、青山純追悼特集、'極私的'青山純追悼特集、2パートでお届けしました」

遅ればせながら、この場を借りて、山下達郎さんに御礼を申し上げます。
重ねて付記しますが、ラジオ番組の書き起こし等に関して、著作権関連の問題があることは重々承知しております。
関係者の方から要請などがありましたら、当然、削除いたします。

*1:文脈上不要な言葉を省いていますが、原則的に素起こしレベルです。→http://kakiokosi.com/

*2:*リンク掲載に問題ございましたらお教えください。

*3:ノー・ダイレクションと発音