『新・座頭市 II』第14話「夢に追われて阿波踊り」

原作:子母沢寛
脚本:田口耕三、安田公義、岩元南
監督:小林正雄
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おれん:江波杏子
おしの:吉沢京子
徳島屋喜兵衛:浜村純
新吉:青柳武志
駒吉:酒井修
逆潮の平六:小松方正
仙太:勝村純
おかね:武智豊子
寅吉:美鷹健児
ほか


無益な殺生の罪ほろぼしに、四国八十八ヶ所巡礼の旅を思い立った座頭市勝新太郎)は、阿波徳島へ渡る船の上で、やはり死んだ亭主の供養のために四国遍路をするあだっぽい年増女おれん(江波杏子)、その従者の駒吉(酒井修)、そして、新吉(青柳武志)という少年と知り合った。実は、おれんは、いかさまがばれて市に片腕を切られ、悶死した上州のやくざ紋次の女房、駒吉はその弟だった。道中、ずっと敵討ちの機会をうかがっていた。一方、孤児の新吉は、異郷の空で死んだ父卯之吉の位牌を懐に、徳島で名産の藍問屋を営む祖父徳島屋喜兵衛(浜村純)を訪ねるところであった。喜兵衛の息子の卯之吉は親が決めた嫁おしの(吉沢京子)との祝言の日、かねてより恋仲のお絹つまり新吉の母と手に手を取って逐電したのだった。処女妻のおしのはそのまま「徳島屋」にとどまり、帰るあてのない卯之吉を待ちながら、年取った喜兵衛を助けて店を切り回していた。
 いっこく者の喜兵衛は、はるばる訪ねてきた新吉を店先で追い返した。心やさしいおしのは、喜兵衛にかくれて新吉をかくまう。おしのは喜兵衛の新吉に対するむごい仕打ちが、自分に対する遠慮からで、けっして本心からでないことをよく知っていた。いつか固く結ばれた心もとける時がこよう。折から徳島の城下は年に一度の阿波踊りに沸きかえっていた。おれんと駒吉は逆潮の平六(小松方正)一家に草鞋を脱いだ。徳島屋の藍玉製造の株を虎視眈々と狙う平六は、その度に喜兵衛にていよくあしらわれ、面目は丸つぶれだった。卑劣な平六はいたいけな新吉を人質に取った。南無大師遍照金剛。せめてお大師さんと同行二人の巡礼の旅のあいだだけは仕込杖は抜くまいと誓ったのに、お天道さん私ばかりがどうしてこんなことになるんでございます。お許し下さいお大師さん。また無益な殺生をしなければならない嫌な渡世を市はのろった。そして…。