『新・座頭市 II』第2話「目なしだるまに春が来た」


原作:子母沢寛
脚本:高橋二三
監督:安田公義
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ



座頭市勝新太郎
春風小蝶:朝丘雪路
おくみ:川崎裕子
法善和尚:殿山泰司
春日の酉三:今井健二
弥七:根岸一正
鵜飼重之進:鈴木康弘
芳松:福田豊
猪熊虎十郎:有川正治
三吉:林家こん平
藤五:平沢彰
ほか



座頭市勝新太郎)に間違えられ、旅のあんま芳松(福田豊士)が、賞金首の百両に目がくらむ藤五(平沢彰)ら三人組の渡世人に惨殺された。瀕死の芳松は、懐中の五両を市に託し、旅芸人春風一座のおくみ(川崎裕子)に届けてほしいと遺言すると絶命した。十年前、女房に死なれ、生活苦から芳松は幼い娘のおくみを、春風一座に捨てた。五両は、義俠の女座長小蝶(朝丘雪路)に拾われ、今では一座の花形に成長しているおくみに、せめてもの罪ほろぼしにと、芳松が飲まず食わずの思いをして貯めたお金だった。芳松の無念を思うと、市の胸は張り裂けんばかりだった。市は、人情和尚法善(殿山泰司)に頼み、芳松の泣きながらをねんごろに葬ってやった。
 親はなくても子は育つ。小蝶にかいがいしく仕えるおくみは、小蝶がひそかに自分の後継者は決めているほど芸の筋もよく、一座のマスコット的存在だった。市にはおくみが実の娘のように懐かしく思えた。だがある意味では市はおくみの父の敵だ。父恋しと涙ぐむおくみに、市は芳松の無残な最期を言い出しかねた。そんな市の苦衷を察し、市の屈託をほぐす苦労人の小蝶。二足の草鞋の悪貸元春日の酉三(今井健二)が、小蝶の美貌に目をつけた。言うことを聞かぬ小蝶への嫌がらせに、一座の人気者、居合抜きの浪人猪熊虎十郎(有川正治)を引き抜く。が、市が浪人に扮して舞台に立ち、危難を切り抜けた。一家の陰湿な妨害は、他の縁日商人や大道芸人にも及んだ。折から一家には藤五らが草鞋を脱ぐ。色と欲との一挙両得。小蝶を人質にして市をおびき寄せるのだ。酉三は一人ほくそ笑む。市の怒りが一度に噴出した!