まず一言。八木美知依さんの演奏は、可能なかぎり、ド真ん前、箏の近くで聴くべきと再認識。
会場着は19時ちょうど。まだ開場しておらず、入口でブロッツマンさんが坂田明さんらとタバコを吸ってて、おおッ! と早くも感激。
東京エールを呑みのみ、開演を待つ。
第1部、いきなりツカツカと袖からステージへ歩み入ってきたのは灰野敬二さん。
たしか18年前、大学1年生の時に早大正門前でのフリーライヴで見かけて以来。しかし、全然当時と変わってないような。
銀色の長髪をなびかせてグラサンに黒一色の上下。細身だかいかにも筋肉質な体つき、ほかのミュージシャンの方とは違うオーラを発散。凄みがありすぎ。
パフォーマンスものっけからハイテンション。ギターを一音、「ギャギャガッ」と出しただけで場の空気は完全に一変、緊張ムードに。観客はふたりの演奏、一挙一動、固唾を飲んで見守る。
文字どおり、鬼気迫る演奏。ブロッツマン氏は表情こそ終始おだやかながら、発する音は灰野敬二のギターを吹き飛ばす音圧、というより風速計測不能な暴風。吹き鳴らすたびに会場の空気が渦巻くような雰囲気。
...どんな肺活量してるねん...???
灰野さんはヴォーカリゼーションも凄絶。雄叫びや咆哮とも違う、内蔵を直撃し、切り裂くような音の刃物。
2時間以上、あんな音を聴いてたら、マゾヒスティックな快感に身がよじれ、狂死してしまうんじゃないか、と一瞬思ったり。
シンバル叩くパフォーマンスでは何度も垂直跳びに飛び上がったり、床に伏せたりと身ごなしも鮮やかすぎで。
いやぁ、凄すぎた!
身にまとう獣性では世界でも類例ない方でしょうね。音以前に一睨みされただけで死んでしまいそうな怖さがあるモンなぁ(汗)男惚れします。
そこには二匹の「鬼」が。
全身轟音家と、全身管楽器家の丁々発止、肉弾バトル。白髪鬼と銀髪鬼の決戦!(<プロレスかよ!)
それくらい、魔性が宿った演奏だったんじゃないか、と。
※追記:ブログ探索で拾わせて頂いた演奏。
、、、もっとも、第一部終了後、ちょうど会えたマークさんに、
「凄まじい演奏でした!」と言ったら、
「いやぁ、まだまだ!」
とニヤリ。
たしかに、その後、さらに驚倒する演奏がトリに登場したのであった。。。
▼第二部は個人的にはメインイヴェント、ブロッツマン/八木/ニルセン・ラヴ。
昨年の公演は見逃したので、今回がライヴ初体験。
感想をザックリ言えば、「ハードロックばり」のノリノリな演奏だったんじゃないかと。
とにかくニルセン・ラヴのドラミングにノセられっぱなし。
八木/フラーテン/ニルセン・ラヴもノリは凄いが、印象としては完全にフリージャズで、アブストラクトな雰囲気。いっぽう、夕べのブロッツマン/八木/ニルセン・ラヴは音がずっと生々しく、スピード感があった風情。
ニルセン・ラヴのドラミング、音数はいつものように多いけれども、基本はシンプルなタテノリ。なので、本人が好きだというハードロック&ヘヴィメタの演奏を聴いている気にもなったり。ジョン・ボーナムが憑衣してるような、そんな妄想まで。というか、よくわからないけど、ドラムのピッチ、ジャズとおいうよりロック的に低めにしているのでは?
八木さんはそんなニルセン・ラヴと絶妙に合った音を出していた気配。最初はスタンダードなジャズ風の音でおとなしめに始まったのが、徐々にロック化していった感じ(笑)
ドラムこそビル・ブルフォード的ではないものの、キング・クリムゾン〜ポーキュパイン・トゥリーあたりにも通じる音世界だったんじゃないかと。
箏を爪弾いているときはキース・ティペット、弓弾きしている時はデイヴィッド・クロスのようで。
そんな風に、あくまでも勝手な印象、思い入れで聴いてたが、やはり昨夜の主役はブロッツマン氏。八木&ニルセン・ラヴの演奏の様子を時折眺めながら、要所ではしっかりバリバリと吹きばらして圧倒、シメるトコをシメてました。
もともとがプログレ馬鹿なロックヲタのせいか、個人的には夕べのようなブロッツマン/八木/ニルセン・ラヴの演奏、メチャ好みです!
ただ、「HEAD ON」に収録されているような、ドスのきいたフリージャズがこのトリオの本領なのかもしれず、まだまだ何とも言えず。あー、関西&名古屋ツアーの追っかけがしたい!!!
▼さて、東京コンフラックスもいよいよフィナーレ。
ドラムセットもあらかた片付けられたステージに登場したのは、角刈り(笑)にガタイのいいケン・ヴァンダーマーク。シャツがエコ風な緑色で似合ってた(笑)
続いて、これまたいかついガタイのマッツ・グスタフソンがでっかいバリトンを抱えて現れる。
かくして、彼らふたりとブロッツマンが3人ともサックス&クラリネットを吹き鳴らすSONORE、いよいよ降臨!
ド真ん前で聴いてたせいもあるかもだが、音圧というか、3人の風圧に文字どおり、ブッ飛ばされまくり!!!
特に、初来日のヴァンダーマークの手数音数、絶妙なタイム感、見もの聴きもので。
前のめりになってデカいバリトンサックスをブイブイと吹くというよりウナるように出していたグスタフソンもサイコーだったなぁ。
白人巨漢が3人そろって、野獣の咆哮以上、爆音轟音吹き鳴らして、会場全体の空気をビリビリバリバリと揺れ動かす。
、、、これぞ、リアル『三大怪獣・地上最大の決戦』!(爆)
ライヴ体験が多いワケではないのでエラそうなことは書けないが、個人的にはあの演奏、一生ものというか、ジャズ関係ではベスト・アクト(いや、ベスト・バウト?)になるかも??
3人が奏でる爆風に包まれて、何度かトリップしたモンなぁ。
シメは坂田明さんが飛び入りで登場し、三大怪獣が四大怪獣にパワーアップ(笑)
予想はしていたものの、坂田さんが登場するだけで嬉しく、会場もいっぺんになごやかになった。
4人の咆哮が高らかに鳴り渡り、ムードは最高潮のまま、東京コンフラックスは終了。アンコールなど無用、最高の終わり方だったんじゃないかと。
ジャズはアタマじゃなく、やっぱりまずは肉体/精神性あっての音楽なんだなぁ、、、と痛感/体感しきったライヴであった。今もまだあの風圧が耳の奥で旋回してる感じがする。
、、、今さら後悔しても遅いけど、ライヴ全夜、参加しなかったのが惜しまれてならず。ピットインもクラシックスもどっちも行くべきだった! ぐあ〜。
いかにもギロッポンな風情(<違うよ!)のゴージャスOLら満載の大江戸線で帰宅。なんだか圧倒されすぎて疲れて、はやばやと寝入ってしまったのでありました。。。
やっぱりつくづく、ライヴは最高!
特に、八木さんの箏はできるかぎり近くで、弦と本体の響きそのものを体感できるところで見るべき、と改めて再認識。
このところ、全体の音を聴こうとしてばかりいたが、やっぱ箏の音が一番素晴らしい。
特に十七絃箏! あの低音部の鳴り、腹に心にシミわたる。。。
またしばらく、「SEVENTEEN」を聴き直す機会が増えそうでアリマス。
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追記。スーパーデラックス、ジンジャーエールもウマいね。