とりいそぎ、あくまでも覚え書き風のレポートということで。。。
、、、八木さん、一瞬、山下洋輔化(笑)
2曲でおそらく40分前後か、というくらいの短い演奏時間でしたが、密度は濃すぎ。 ニルセン=ラヴの測定不能な手数多すぎドラミングに駆り立てられるように、素早いパッセージでトリルを超えた連打に次ぐ連打で爪弾きまくり。 同じ北欧勢相手でも、昨年のMZN3相手の時よりも、全体のスピード感だけなら、断然上。
1曲目は延々30分前後は演奏していたのでは?
中盤過ぎたあたり、手休め(?)風にニルセン=ラヴがドラムを叩かない間、静かにビートを刻むフラーテン。さすがは世界最強ベーシスト、忙しく弦をはじきながら、手元に置いたエフェクターをいじってノイズを放出。なにせプレイの幅広すぎ、引き出しが多すぎ。安易にコメントできない!
八木さんは最近の欧州ツアーあたりから使い始めたらしい2本のスティックで箏を木琴然と叩くプレイが光り。
金属質な音が出ていたので、一瞬、かの夭折の天才・桜井英顕(さくらい・ひであきら)が用いて話題になった鉄製の天ぷら箸を使っているのか、と勘違いするほど。キンキンとおよそ箏らしくない澄んだ鳴りがして、印象に残り。
、、、今回の白眉は、1曲目の終盤あたり、両手で弦をピアノのようにガンガン叩きながら、同時にビシッビシッと爪弾くという荒技を延々繰り出したところ。
思わず、「山下洋輔*1かッ!」とツッコミ入れてしまったほどで(爆) 勢いに乗って「肘撃ち」しちゃうんじゃないかって。
楽曲としてのまとまりは2曲目のほうがあったかも?
10分弱ほどの短めの演奏ながら、2005年の初競演以来、このトリオがやってきたことのエッセンスが詰まっていたような、そんなヴァリエーションにも富んだ楽曲で聴き甲斐があり。
クライマックス、フラーテンが放った轟々たるノイズの凄まじさたるや、、、思わず、隣の知人Kさんに「ブラック・メタルですねぇ、こりゃあ!」なんて言ってしまったほどで。
3月以来の連続イヴェント<北欧HOT>に皆勤(!)されているというKさんによれば、昨夜の演奏は比較的静かな雰囲気というか、今夜ほどの烈しさはなかったそうで。もちろん、それでも「過激」ではあったようで、驚嘆する声も多かった様子。
「ニルセン=ラヴはブラック・メタルも好きらしいですよ!」という情報も聞き、なるほど! と勝手に納得。納得しちゃいかんか(笑)
ニルセン=ラヴもフラーテンも一見、理知的で穏やかな顔立ちの好男子なのに、内面に魔性を抱えこんでいるとは、、、おそるべしノルウェー男児!(笑)
「フリッカー、あるいは映画の魔」なるミステリがあったけど、それにならえば、あるいは「ジャズの魔」が馮衣したかのごとき演奏とでも評すべきか? いやはや、つくづくおそろしや!
スコーチ・トリオについても少しだけ。
写真やYou Tubeで見ると怖〜い印象もあったラウール・ビュルケンヘイム*2、実物はメガネかけて口髭をちょこっと生やした、陽気そうな知性派男児(笑)
終演後、細か〜い字が並んだキース・ジャレットの本をニコニコと開いて、ページに目をくっつけるように見てたりして。
しかし、演奏自体は魔人そのもの!(呆) 、、、いや、弾き終わるや、気恥ずかしそうに「ドウモアリガトウ」と小声で言ったり、モジモジ君系インテリ男子(爆)に速攻で逆戻りしてしまうあたり、「ギター魔人」というよりはフツーに「ギター男子」だったが(笑)
いずれにせよ、ギターをアレだけバリバリと弾き倒すタイプ、イマドキほかにいないのでは?? 実際見るまではネルズ・クラインに音色やスタイルが似ているか、と思ったが、彼よりも断然ノイジーでけたたましい。
ピート・タウンゼントというよりかつてのキース・リチャーズ風か、右腕をサッと一瞬高く上げるポーズとったりしていちいち画になり。とにかく被写体として最高だったとは、御存知ノルウェージャズの権威・grinningtrollさんのコメント。ホント、演奏終わるたびに、やんやの喝采という具合。皆々、拍手の音が自然に高まってしまうという。
アキ・カウリスマキの映画で見るように、フィンランド国民というのは愛すべき人物が多いのかも? とも再確認。
とにかく、今回の公演を見た方は、間違いなくますます彼の虜になったのは疑いなし! やっぱりナマで見ると違う!
、、、世界最強リズム隊については今さらコレ以上は書くまでもないかと。 ブログ等でいくつかレビューが出ているようなので、どうぞそちらで、ということで。
個人的には、ニルセン=ラヴのあの手数の多いドラミングをようやくナマで見て、なるほど、目下世界最強との評判にどうやら偽りなし、と確認できただけで満足。ただ、grinningtrollさんによれば、「今夜はそれほど手数は多くなかった」とサラリとコメントされ、とすればピーク時は一体どんだけ凄いんだ? と気が遠くなった。いやいや、マジで手数なら世界最高レベルだから。
ちなみに、今回のライヴに行かれた方は、八木さんのブログに直接コメントして頂くとよろしいかも、と。
http://michiyo-yagi.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_2758.html
次回は10/23(火)@大泉学園インF、大友良英さんとのデュオに超期待!!!
夕べのマークさんの名言。
「かつて『なぁ、日本人ってなどうして四畳半で聴く音楽を武道館で聴くんだ?』といきなり聞いてきたジャズ評論家*3がいました。今夜の演奏は彼の言葉とまるきり逆で、『武道館で聴くような音楽を四畳半で聴いた』ような、それぐらい凄いものだったんじゃないかと。。。」
大評判の企画<北欧HOT!>、次回は12月にホーコン・コルンスタが来日するとのこと。わが音楽体験を変えてくれた<じゃずじゃ>、こうなればついていけるだけ御相伴希望!
*1:高校時代、わが地元にもライヴに来られた山下洋輔さん御本人に「肘撃ち」について聞いたら、「調子がいいと出るワザだよ♪」なんてお答えで可笑しかった。ちなみに、八木さんはかつて山下さんとデュオではないが競演はされている。
*2:「ビョーケンハイム」はやはり本人が訂正を要請したそうな
*3:チャーリー・パーカーの権威で、実生活ではなんとトビ職でもあったという故・市岡仁。ジャズ畑にはいろいろ奇人がいる。