ヤスケンの「汚点」。

http://www.asahi.com/national/update/0310/TKY200603090524.html
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungeishunju/index.htm
村上春樹、「恩人」をついに告発。編集者としては今もなお尊敬できるが、人間としては問題多すぎる人物であったということだろう。
まー著作での暴言妄言の数々を読めば、人格破綻者スレスレというのはわかるのだが。
もちろん、実生活上ではチョー問題人物だったとはいえ、ヤスケンが残した業績自体は素晴らしいと思う。村上春樹の告発によって残念ながらその評価は一挙に地におちた観もあるが、今回明るみに出た汚点を差し引いても、あれほど「読ませる」書き手と文章を編集した人物はまれ、という評価だけは今後も正しくなされるべきであろう。
文藝春秋ヤスケンの古巣・中央公論社とは仇敵の間柄、さらに芥川賞の内幕についても機会あるごとに暴露されたりしているし、社内にアンチ・ヤスケンが多いのではないか? 
村上春樹の今回の文章は、いつも以上に彼の才知と人柄を感じさせるものだが、正直、そっくりそのまま受け取れない内容でもある。もちろん、原稿横流しの事実だけはどうあっても告発されるべきだが。

決定版「編集者」の仕事

決定版「編集者」の仕事

名/迷著です。ヤスケンが手掛けた仕事が列挙されてるだけだけど、ナラビ見てるだけでワクワクするぞ!
目次の羅列の合間にヤスケンの懐古録と罵言妄言が錯綜して、ごちゃごちゃしてて読みにくいけど、たかだか一雑誌の記事にめくじら立てて、出版社社長に作品引き上げを迫ったノーベル賞作家・大江健三郎や、「死の棘」のモデルになった作家夫人(現在も存命)をパーティ会場で堂々とキチガイ呼ばわりした丹羽文雄など、大作家たちの実像も垣間見えて面白いです。
本書を読み直して思ったのだが、「マリ・クレール」在籍時代、当時の社長に受けた「恥辱」に対する彼なりの復讐だったのではないか、とも思わないでもなかったり。あまりにもトチ狂いすぎた仕返しだが。まぁ、単純にはカネの問題でしょうな。「リテレール」時代に借金を負わされてしまったらしいし。
……たとえ犯罪者であったとしても、店内にCDばらまいたりしたキチガイだったとしても、編集者としての功績は功績として認めてやってもいいのではないだろうか? 甘すぎるのかもしれないが。