かつて映画の黄金時代、プログラムピクチャーと独立プロが乗り合いで共同戦線を張っていたコトがあるが、当時、同一キャストでまったく違うストーリーで2本撮りが行なわれていた!……という夢を見た。いろんな夢をみてきたが、久々に題材といい、ストーリーといい、面白過ぎる夢だった。
キャストもわかっている。森繁久彌・志村喬・殿山泰司・津川雅彦・伊丹十三(一三)といった面々。モリシゲだから東宝作品っぽいが、なぜか日活の新人だった津川雅彦と、大映作品で目立った伊丹一三が出ているのがかなりヘンなのだが、それは夢ということで。
ざっと云ってしまえば、『喜びも悲しみも幾歳月』みたくメジャーがモリシゲ主演でヒューマニズム路線で撮った灯台守をめぐる大河ドラマと、海辺でハレンチ事件を繰り返す若者どもの生態を赤裸々に描いた太陽族映画が同時に撮られていた、という設定だった。
プログラムピクチャーのほうはたぶん監督は木下惠介クラスの叙情派名匠。嵐の被害に遭いがちな海辺に灯台を建てることになり、技術者一家と彼に協力する漁民たちの交流を、淡々とドキュメントタッチで描くというもの。
技術者がモリシゲというのがミソ。ンなキャスティングあり得ないンだろうけどな、ま、夢だから。漁民代表はなんと志村喬に殿山泰司(!)暑苦しい三人がテトラポッドを積み上げた急場づくりの突堤をしずしずと歩いていく場面が映し出された。映画はどうやら、灯台が建設されていく様を、あくまでも淡々と描いていくというノリだったようだ。
風格こそあるが、どうにも退屈なドラマと違い、独立プロ系作品のほうはなかなか破天荒。さきほどの突堤をしずしずと歩いていく場面とそっくり同じ場面が映ったと思ったら、いきなり若者どもが海中に飛び込んでいく。海辺でひっかけた女をめぐっての話し合いを何を思ったか、海のなかでやらかそうという具合の展開。津川雅彦がリーダー格で、息をとめて子分の伊丹十三の頭おさえつけて水にもぐらせる場面が映し出された。ストーリーの全体像までは把握できなかったが、実はコレ、題材があげく「天皇批判」まで盛り込んだことからお蔵入りしてしまうというオチまでついていた。脚本だけはその後70年代の「映芸」に幻の一品として掲載されたというオマケつきで。監督は夢のなかでは誰とも定まっていなかったが、題材的には今村昌平くさい。いま考えたら、三國連太郎も出てたっぽいし(笑)
……あ〜、邦画古きよき時代の隠された一事件! みたく、すげぇ面白いストーリー仕立ての夢だったのになぁ。細部が思い出せないのが残念!
このほか、美女とニタニタ楽しいことをいたす夢も見たが、こっちは省く。絶頂寸前で目が覚めちまったので(……マジ萎)