<名画座魂>Vol.6:特別企画<ニュー・ジャーマン・シネマ再訪>

映画は頭を解放する

映画は頭を解放する

思えば遠くへファスビンダー
1.出稼ぎ野郎
2.ペトラ・フォン・カントの苦い涙
3.四季を売る男

「オレにカネがあったら、全作品ロードショー公開したい!」

と、天才・中原昌也に言わしめる、ニュー・ジャーマン・シネマ最大の偉才ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、いいかげんそろそろマジに見直しませんか、え? アテネフランセだの辺鄙なオフシアターでシネフィルども相手に商売してるンじゃダメだって!先年、シネフィルイマジカにて大作ベルリン・アレクサンダー広場が放映されたワケだが、かの作品同様、実はファスビンダー作品の多くがもともとはTV映画として制作されたのはあまり知られていない事実かも。ドイツ文化庁の後援の下、TVで最初放映され、その後劇場公開された作品が多いのだ。35mmフィルムで撮影されているし、TV向けにつくられた作品ではなかったにせよ、あれほどに残酷無惨、鬼畜外道な世界がお茶の間に流れていたかと思うと、戦後ドイツの抱える病理つうか、「闇」は深いッ! と思わざるを得ない。
つうわけで、とりあえず選んでみましたファスビンダー名作3本。マニアほどセレクションに異論はあろうが、あくまでオレの好みってコトで。
ファス公演ずる移民労働者ギリシャのギリ公」を寄ってたかってボコにする高等遊民どものヘラヘラダラダラ日常をあえて書き割り構図に紋切り型演出というファスビンダーならではのスタイルでズバリとらえたデビュー作の1.、冷血酷薄サディスティックな女主人のヒロインが美女に入れこんだ挙げ句捨てられてさらに秘書にも逃げられて自壊する様を無情なタッチで描く2.、外人部隊あがりのアル中男が妻に裏切られ心身病んで人生に絶望して自死する3.、、、どれも現実の人生、悪意ある世界を端的超絶に映し出してて、見終わると気持ち悪くなるくらい。ハッキリ云って、明日から生きる自信なくなるくらい打ちのめされる。でも、ハマってしまうンだ、なぜか。だって人生も世界も、ホント、残酷で悪意に満ちみちているもん。ウソをつかないファス公の<世界認識>、絶対的に正しいな、って思えるもん。
これほどに世界最強級な天才作家の作品が、劇場公開はもちろん、後期一部作品除きビデオ化もされてなければいまだTV放映もされないなんて現状は嘆かわしいかぎり。全作品早急にDVD化、切に望む! ヴェンダースみたくオンナ代えるたびに作風までコロコロ変えるエセインテリ野郎(とあえて酷評)なんて見てる場合じゃないンだって、マジ! あいつとヴェルナー・ヘルツォークだけがニュー・ジャーマン・シネマじゃないンだよ! まだまだ底知れない深いふかぁい病みに闇が、近代ドイツにゃ埋もれているンだからして。。。

追記。DVD-BOX化されバラ売りも開始。主要作はほぼソフト化されたようです。めでたや。

リリー・マルレーン [DVD]

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出稼ぎ野郎 [DVD]

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ペトラ・フォン・カントの苦い涙 [DVD]

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四季を売る男 [DVD]

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