オランダVSチェコ

 今朝の名台詞はもちろんチェコに捧げます。素晴らしきかな、その健闘!
 スロースターターなオランダがなんと開始早々から速攻、開始20分弱で2得点。ラインコントロールがうまくいかないチェコ・ディフェンスの薄さ、あっけなく破られた。今日のオランダはラフィを先発から外してロッベンファン・デル・メイデの左右ウィング。中盤はダーヴィッツセードルフの仲良しこよし黒人コンビ*1でボールを追い回し、攻撃に守備と大奮戦。最終ラインはスタムがしっかり統率、チェコの波状攻撃を躱し続ける。
 対するチェコ。あっけなく2得点取られてからも、あわてずさわがず、右サイド中心に根気よく攻撃を繰り返す。タッチライン際ギリギリにスルーパス、前線に攻め手を走らせ、クロスを放り込み、切り崩しを図る。はげしく素早い攻撃ながら、イエローカードは結局ガラセクが一枚もらったのみ、というクリーンファイト。
 輝くばかりの金髪振り乱し、ピッチを八方無尽に疾駆する天下無双の斬り込み隊長ネドヴェド。剛椀ならぬ“剛脚”で再三強烈なミドルシュート、オランダの守護神ファン・デル・サールを幾度となく脅かす。前線には頼もしき“巨塔”コレルがオレンジ軍団の群れのなかですっくと仁王立ち、ポストプレイの鑑たる献身的なポジショニングで攻撃をお膳立て。コレルを旗頭に、七変化なワザ持つ武芸者ポポルスキー(+スミチェル)があの手この手でクロスをあげれば、イキあがるアタッカー、バロシュとロシツキがスペースを逃さず走り込む。
まさしくボヘミアの深き森を行く武人のごとき、質実剛健にして恐るべき突破力を誇る現在のチェコ代表。予選ですでに実証されているように、オレンジ軍団はこういう相手が一番苦手。それでも、今回はいつもみたく手前勝手なてんでばらばらなプレイはなく、前線へ積極的にボールを運ぶ攻撃姿勢がいつになくしっかり機能していた。
ところが、そんないいムードに水をさしてゲームを崩壊させたのがアフォ、もといアドフォカート監督。チェコ最終ラインを何度も脅かしていたロッベンをなぜか守備的MFボスフェルトにチェンジ。明らかに守備固めだが、なんという超消極策!(呆) おかげで中盤下のバランスが崩れ、得意のパス回しも影をひそめることに。チェコの波状攻撃を不用意なカバーで防ごうとした若手サイドバックハイティンハネドヴェドを倒してイエロー2枚で退場後、事態は悪化の一途。
集中力が切れ始めた間隙を突かれ、同点にされたのちも、タレント揃いの強み、チェコ陣内に攻め込むオレンジ軍団。ところが、アドフォカートが次に切ったカードはライツィハーチェコの猛攻をしのぎ、同点で逃げ切るつもりだったのかどうか、いずれにせよ弱腰。時間切れ直前、ラフィを投入するも時すでに遅し。
終了間際、ハインズミドルシュートが一閃、こぼれ球をポボルスキーが拾い、スミチェルが押し込んだ。オランダは結局、チェコの波状攻撃をしのぎきることはできなかった。
性根据わったチェコの前に、勝負弱いオランダがまたも崩れ去った。いや、今回に関しては、ロマンスグレーの名将カレル・ブリュックネルの前に、ただの脇の下汗かき親爺と化した二流監督アドフォカートが自滅したと云ってやるべきかも。
試合終了後、怒りとも悲しみともつかぬ困惑した表情で、しばし固まっていたファン・ニステルローイが印象的だった。


*1:97-98シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、ユヴェントスVSレアル・マドリー戦にて、敵味方で対戦したが、ふたりとも似た髪型で見分けがつかぬほどだった。で、終盤、ふたりが激しく接触した際、なんと審判がセードルフにレッドカード。ホントはダーヴィッツにイエローを出すハズが、審判も間違えたのだ。