プロちゃん・グレたんの今日も元気だ喧嘩上等大放談!:第5回「ジェネシス」

プロ「オイッス! プロや!」
グレ「元気ッすかァァッー! グレや!」
プログレ「ふたり揃ってプログレやねん、エエこれしかし」
グレ「……しかし、安易なネーミングやな〜いっそ改名せんか?」
プロ「いやいや、この手抜きさかげんがまた笑いを誘うハズやねん。しょせん、プログレなんて脱力音楽やさかい」
グレ「マジ、喧嘩売ってるよな。で、今回はいわゆる英国プログレ5大バンドのひとつ、ジェネシス!」
プロ「おぅッ! ワイが一番好きなバンドやないけ!」
グレ「まずは英国貴族の子弟どもがまだ十代の頃に出した幻のファースト「創世記」(69年)

プロ「ああ、コレは無視してエエわ。ジャケもまっくろけ、ツッコミの余地もなし。まぁ、こいつら意外と哀愁のメロディ系なエエ曲書くから、そういう妙なポップ・センスはすでに垣間見えるけど、いかんせんショボすぎ。マニア向け」
グレ「やっぱ、けなすコトしかでけんのかおどれは。セカンドが「侵入」(70年)。邦題は直訳」

侵入(紙ジャケット仕様)

侵入(紙ジャケット仕様)

プロ「カリスマレーベルに入ったのが良かったな。ジャケもいきなりグレードアップ、英国趣味丸出し路線の始まり。まとまりはあらへんけど、初代ギタリスト、アンソニー・フィリップスが光りまくり。マイク・ラザフォードトニー・バンクスのバッキングもナカナカ。いわゆる<かぶりもの>時代の若きピーター・ガブリエル、狂才発揮の始まりや! ただ、ドラムがショボすぎて萎える」
グレ「で、サードが出世作「怪奇音楽骨董箱」(71年)プログレ名盤数あるなかでも<ブギ浮きイカす邦題>最高峰!」

怪奇骨董音楽箱(紙ジャケット仕様)

怪奇骨董音楽箱(紙ジャケット仕様)

プロ「ジャケからして首転がってて引かせまくり。1曲目「ミュージカル・ボックス」でも引用される、「マザー・グース」の影響モロ。原題の言葉遊びのニュアンスまでは表現してないけど、雰囲気はモロ伝えまくり。名吹替!」
グレ「吹替じゃないっつの。ところで本作からあのフィル・コリンズが加入! ドラムがいきなり「♪ドカドカうるさいロックンロールバンド」化!」
プロ「ギターもアンソニー・フィリップスに代わってティーヴ・ハケット! <2本指奏法>炸裂や!」
グレ「え、アレ、指2本で弾いてるの?」
プロ「ほとんどそうや。人さし指と中指だけでシコシコ弾いてくさる。名付けて<ふんにゃか>ギター
グレ「釈由美子かぃ!」
プロ「泣かせのメロディに時代がかった猟奇趣味、トラッドの香りも高い名作じゃね」
グレ「お次が最高傑作と誉れ高い「フォックストロット」(72年)

フォックストロット

フォックストロット

プロ「海におっ立つキツネ女! 1曲目「ウォッチャー・オブ・ザ・スカイズ」とB面の大曲「サパーズ・レディ」に尽きる。変拍子炸裂!」
グレ「「サパーズ・レディ」はトニー・バンクスピーター・ガブリエルに怒ったという。「オレが必死こいて弾いたキーボードに、アホな意味なし歌詞のっけやがった!」って」
プロ「ややこしいフレーズ弾くほうも悪いってぇの! で、次がオレの好きな「月影の騎士」(73年)

月影の騎士(紙ジャケット仕様)

月影の騎士(紙ジャケット仕様)

グレ「原題は「英国ポンド売りします」。邦題はなぜか1曲め「Dancing with the Monnlit Knight」のイメージだけ。ようやく猟奇趣味から脱してポップで明るくなったのに」
プロ「「Dancing with the Monnlit Knight」は「ミュージカルボックス」と並ぶ、初期ピーガブならではの演技過剰曲。バックはただの劇伴」
グレ「違うんだって! ピーガブは自分だけ楽器がうまく弾けないのがコンプレックスだったんだよ。だからかぶりものだけじゃなく、フルート吹いたり、フットドラム叩いてたんだってば!」
プロ「初期ジェネシスはピーガブのバンドだよ。アイアン・メイデンとかに影響与えたんだ、自信を持つべきだってぇの! マリリオンみたくまんまはダサいけどな」
グレ「まぁ、他のメンバーも相当凄腕だったから、ストレスはたまったんでしょ。シンフォニック系ユーロプログレの元祖だからなぁ。ジェネシスが存在しなかったら、誕生し得なかったバンドって腐るほどありそうだもん。
つうわけで、初期ジェネシス「眩惑のブロードウェイ」(72年)で一幕終了。2枚組の大作、ジャケはヒプノシス。ワケわかんなければ、何でもかんでも「眩惑」ってつければOK(笑)これまた名邦題!」

眩惑のブロードウェイ(紙ジャケット仕様)

眩惑のブロードウェイ(紙ジャケット仕様)

プロ「とりあえず、ジャケはユニーク。個人的には、コレだけはせめて紙ジャケで確保しておきたい。ただ、歌詞とストーリーはワケワカ。解説不能。オチは『プリズナーNo.6』と似てる、ってのは赤岩和美センセイの説」
グレ「コワモテのパトリック・マクグーハンじゃなく、ブラックユーモアな世界だから、ピーター・セラーズならハマりそう」
プロ「さて、ピーガブ脱退後、フィル・コリンズがスタンドマンになった再始動作が「トリック・オブ・ザ・テイル」(76年)「静粛の嵐」(77年)。「トリック〜」は名邦題つけるべきだったから×。「静粛の嵐」ってのはいかにもプログレ調でなかなか巧いね。
曲調はトニー・バンクスの趣味炸裂つうか、ソフトでメロウだけど、演奏はノリノリ。フィルのドラム、凄すぎ! 再始動前に録音されたブランドXのファーストとかぶっ飛びモン!」

トリック・オブ・ザ・テイル(紙ジャケット仕様)

トリック・オブ・ザ・テイル(紙ジャケット仕様)

グレ「12弦ギター&ベースかついでフットベースまで弾いてたマイクも凄い。演奏面ではこの頃が最強最高。フィルが前で唄いだしたから、サポートドラマーにビル・ブルフォード、そしてフランク・ザッパ・バンドのチェスター・トンプソンが入って、凄いのなんの」
プロ「ライヴ盤「眩惑のスーパー・ライヴ(セカンズ・アウト)」(77年)は買い。何かっつうと後ろに飛んでドラムセット座って叩きまくるフィルが最高! 「シネマ・ショウ」でのビル・ブルフォード、「ダンス・オン・ア・ヴォルケーノ」でのチェスター・トンプソンとのツインドラム合戦、聴かずに死ねるか!」
グレ「そういうノリについていけなかった地味系ギタリスト、スティーヴは脱退。そして出たのが「そして三人が残った」(78年)。こういう自虐ギャグ、英国人らしいなぁ(笑)」
プロ「この頃から本格的にポップ路線驀進。演奏はまだプログレ臭いけど、どんどん洗練されていくのがわかる。「デューク」(80年)「アバカブ」(81年)「ジェネシス」(83年)、そして「インヴィジブル・タッチ」(87年)はどれも名作! 名付けてプログレ・ポップ(笑)イエスが「ロンリー・ハート」で再生復活したのはこの3枚が出た後。意識してたというよりは、当時はプログレ・バンドが軒並みいわゆる<恐竜ロック>に変貌しつつあったワケですな」

デューク(紙ジャケット仕様)

デューク(紙ジャケット仕様)

アバカブ

アバカブ

グレ「旧プログレ組のなかで音楽面でダントツに洗練されてて、ドラマティックでメリハリあったのは、やっぱジェネシス。メンバーの中で唯一「平民」なフィルがソウルやジャズノリを持ち込んでジェネシスを変えたって云うけど、マイク・ラザフォードトニー・バンクスにも、それなりにフックの効いた曲を書くセンスがあったってコトじゃないかと。単に初期はピーガブの個性に引っ張られて、曲調が妙に複雑怪奇路線に入っただけ。ロバート・フリップみたくインチキ野郎がオーバープロデュースでワケわからなくするキング・クリムゾンあたりとは、このへん、エラい違いだな。立ち位置が違った。もともとはわかりやすいR&Bとか演奏してたんだからなぁ。要するに、一番バンドらしいバンドだったんだな」

ジェネシス

ジェネシス

インヴィジブル・タッチ

インヴィジブル・タッチ

プロ「メンバー全員研究熱心らしいしな。ステージ照明を変革したとかいう有名なヴァリ・ライトとか、ジェネシスが生んだモノって意外と大きい。ちなみに、トニー・バンクスってシンセサイザーヲタで、カシオのおもちゃキーボードとかでも何でも買ってきては音色とか研究してたらしい」
グレ「プログレ5大バンド中、一番無難に80年代を乗り切った感じだな。昔はあんなにややこしい音楽やってたクセに(笑)そういう意味でも文字どおり、「先進的」だった連中かも」
プロ「ただ、フィルがあまりにソロでビッグになり過ぎたのが、予想外の出来事だった。3人ジェネシス「ウィ・キャント・ダンス」(91年)*1でシメ。コレでフィルまで脱退、新メンバー入れてアルバムも出したけど、現在のトコ、活動完全停止状態。マイクはジェネシスは解散した、とか云ってるらしい」
グレ「フィルのあんちきしょう、って感じだな。キユーピー野郎のクセに!」
プロ「ピーター・ガブリエルフィル・コリンズに関しては、回を改めてやりやしょう」
グレ「というワケで、ジェネシスの項オワリ!」
プロ「じゃ、お手を拝借。「ウォッチゃー」のリズムでシメ! アレ、何分の何拍子だっけ?」
グレ「勝手にやってろ!」
(つづく)

*1:アマゾン! リンク間違ってるぞ!!!(怒)