ハイパー・ジャズな夕べ。

hibiky2006-11-25

24・24日の両日は、わが音楽人生のなかでもエポックメイキングな2日間となった。
少なくとも、今までに見たなかでは最高のライヴ。
ザックリ言い切れば、ジャズに限らず、ジャンルを超えた今年のライヴ・ベストワンに選ばれるべき水準のものだったことだけは間違いないのでは、と。 *1

日本が世界に誇るハイパー箏奏者・八木美知依と、目下世界最高峰の北欧ジャズのなかでも選り抜きのトリオ、MZN3が(まさにチラシのコピーどおり)激突/合体し、核融合にたとえるべき、音楽ならではの奇跡的な「マジック」が起こった。一言でいって、感動した。
ライヴ等の詳細は今回の企画者であるGrinning Trollさん*2が作成された、素敵な特設サイトでどうぞ! http://mzn3.grinningtroll.com/
以下、覚え書きだけ。

八木美知依さんが文字どおり、ハイパー(超越)な箏奏者であることを改めて納得。

北欧最強のジャズ・トリオと八木美知依という最高の箏奏者ががっぷり四つに組み合ったことで、両者の最高の演奏が引き出され、素晴らしくハイクオリティなジャズを、いや、新たなる音楽を生み出していた。

アトミックのリズム隊(ポール・ニルセン・ラヴ&インゲブリクト・ホーケル・フラーテン)との競演作「ライヴ! アット・スーパーデラックス」はリスナーの「アドレナリン」を放出する「過激」さが突出した演奏でしたが、今回のMZN3との演奏には「ダイナミズム」があった。

どこまでも強靭で、堅実で、緊密。しかし、せせこましさなど一切なし。音そのものに4人全員が高次元で一体化した躍動感がある。 今回ほど言葉の正しい意味で、「健全」な音楽を聴いたことはなかったかも。。。
箏という和楽器が本来持っている響きやゆらぎまでが、演奏された楽曲全体に自然に鳴り渡り、律動していたという感じ。いつになく力強い爪弾きの一音一音が、心身を強烈に揺さぶりまくるような活力に満ちた音だった。
最高級の録音だったアルバム「Seventeen」のエンジニア、佐々木正樹氏の恐るべき音像創出力にも瞠目させられました。大音量にも関わらず、耳障りな箇所など一切ない、奥深く、いつ何度聴いても鮮烈なサウンド。とにかく、素晴らしかった!

何度でも書くつもりですが、見逃した方は惜しいことをされましたねぇ、、、凄い演奏でしたよ、マジで!
幸い、ライヴレコーディングが上記の佐々木正樹氏によって為されました。来年、「MZN3+Y」(たぶん仮題)として発売される予定なので、八木美知依&北欧ジャズファンの皆様、心して待ちましょう。。。

Mzn3

Mzn3

MZN3のアルバム。メンバー各人の傑出した才能が感じとれる作品。もっとも、本作録音時よりも、メンバーの演奏は主に即興演奏の面で飛躍的に向上したらしく、今回のライヴを見てから聴き直すとちょっと物足りないほどであった。特に、シェティル・メステルのサックスはかすかなブレスですら、凄まじい音を発していて、彼のプレイを見るためだけでも北欧に行きたくなるほど、力強く、凄まじいものがあった。ベースのペール・ザヌッシの慎ましく控えめながらも堅実で熟成したラインは非常に物静かな本人のたたずまいを思わせて、えも云われず。ドラムズシェル・ノルデソンはふたりよりも10歳ほど年上のベテランだが、40歳を超えているとは思えない若々しさで、複雑精妙、千変万化なフレーズを見るも鮮やかな手技足技で叩きだしていた。目下北欧最強と呼び声高いポール・ニルセン・ラヴも一目おくほどの力量だそうで、彼のドラミングを聴くだけでも買う価値がある作品である。しつこいけど、ライヴで見たらアルバム以上でしたけどね(笑)


*1:残念ながら、著名な音楽評論家&ライターの姿はほとんど見かけず。少しでも「耳」がある識者なら今回の録音を聴いた時、惜しいチャンスを逃した! と歯がみするであろう(して下さいね)。。。

*2:北欧ジャズに関して、最もコアでマストな情報満載のサイトを運営されてます→http://www.grinningtroll.com/index.html サイト構成のセンスといい、ライヴ写真といい、卓抜した美的センスが堪能できます。ぜひ御一見あれ!