『新・座頭市 II』第12話「雨あがり」

原作:子母沢寛
脚本:星川清司
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おとき:いしだあゆみ
今朝次:夏八木勲
てる:渡辺みえ
宇吉:三上真一郎
六文屋久八:花沢徳衛
儀十:中井啓輔
丸甚:高品格
半助:山本一郎
寺蔵:田中弘史
門太:広瀬義宣
寅松:福本清三
小寅:橋本和
ほか



座頭市勝新太郎)は、ケチなヒモの今朝次(夏八木勲)に痛めつけられている宿場女郎おとき(いしだあゆみ)を見るに見かね、足抜けさせてやった。もの心のついた少女の頃から人の情けを知らずに生きてきたおときには、市が神様のように思えた。それから五年の歳月が流れた。上州・玉名宿を通りかかった市は、おときが宿場の料理屋「川菜屋」のおかみにおさまっていることを思い出した。いつか旅先でもらった手紙にそう書いてあったのである。だが、おときはせっかく訪ねてきた市になぜかよそよそしかった。別に恩に着せるわけでもないが、それが昔の恩人に対する態度かと、市は内心業腹だった。
 市は宿場にみなぎる尋常ならざる空気を敏感に感じ取った。おときが原因だ。いきさつはこうだ。逃げたおときを血眼になって捜していた今朝次は、やっとその行方を突き止めた。今朝次はおときの亭主の「川菜屋」を殺し、おときに復縁を迫った。言うことを聞くとみせかけて安心させ、はたご屋「六文屋」の主人久八(花沢徳衛)、「六文屋」の板前宇吉(三上真一郎)、米屋の儀十(中井啓輔)、居酒屋の丸甚(高品格)ら宿場の住人の協力で、おときは目明しの半助(山本一郎)に今朝次を召し取らせた。島送りと決まった今朝次は、生きて帰ってきて、おときに手をかした者全員に仕返しをせずにおくものかと、形相すさまじく引かれていった。その今朝次が島から帰ってくるのである。
 おときに岡惚れの若い宇吉は別として、これまでのよき隣人意識はどこへやら、生きた心地がしないのも、もとはと言えばすべておときのせいだと、久八らはおときに露骨に敵意を示しはじめた。やがて、疫病神の今朝次が姿を現した。ドスのきいたいっぱしの無法者になっていた。そして…。