『新・座頭市 II』第8話「そこのけ、そこのけ、あんまが通る」


原作:子母沢寛
脚本:棚田吾郎、中村努
監督:島田開
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
大沢:稲葉義男
浅尾:中山麻理
琴姫:斉藤こず恵
遠藤幸之助:工藤堅太郎
田村儀兵衛:横森久
旅の武士:高並功
魚屋:藤川準
腰元:三浦徳子
くりからの常松:大木正司
秀之助:橋本和
弥市:浜伸二
ほか

赤津十万石佐治家の息女琴姫(斉藤こず恵)と青柳一万石直井家の嫡男金之助との縁談がめでたく整い、輿入れの行列が国表を出発した。名門の佐治家が家格の低い直井家と縁組を結ぶのは、窮迫財政再建に莫大な結納金を当てるためであり、屈辱的な政略結婚には、正義派の青年武士遠藤幸之助(工藤堅太郎)はじめ、青柳の家中にも反対する者は多い。ところで、“金で買われた花嫁”琴姫は、まだ年端もゆかぬほんの少女だ。利発なようでも結婚がどういうことかさえはっきり知らぬいたいけな琴姫に付き添う、家老大沢(稲葉義男)と乳母浅尾(中山麻理)の心は重かった。
 渡世のしがらみから、やくざくりからの常松(大木正司)一家に追われる座頭市勝新太郎)は、道中、妙に命令口調の口をきく、犬を連れた不思議な少女と道連れになった。宿所を抜け出した琴姫だ。人を疑うことを知らず、普通の子供なら何でもないことに、並々ならぬ好奇心をしめして目を輝かせる、星の国から来たような汚れを知らぬ琴姫と、市はすぐに仲良しになった。泣く子も黙る座頭市だが、童心にかえり、琴姫の無理難題をハイハイと聞いていると、自分が物語の中で騎士にでもなったような気がして、心の安らぎを覚えた。利発な琴姫は“下界”の風習にもすぐに慣れ、乱暴な市のやくざ言葉を上手に真似しては、市を苦笑させる。
 のどかで牧歌的な市の子供旅は長くは続かなかった。“市主従”は再度くりから一家と遠藤が放った刺客に襲われる。まさに前門の狼、後門の虎だ。一方、浅尾と遠藤は、かつて哀しい別れ方をした恋人同士。皮肉でむごい再会が待っていた。そして…。