『新・座頭市 I』第20話「いのち駒」

原作:子母沢寛
脚本:村尾昭
監督:南野梅雄
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おゆき:松原智恵子
宗達内藤国雄
源三郎:石橋蓮司
五郎蔵:小松方正
長吉:高野真二
勘助:松山照夫
伝八:谷崎弘一
仙次:白川浩二郎
藤兵衛:須賀不二男
ほか


江戸の棋界で、同門の宗達内藤国雄)と源三郎(石橋蓮司)の両人は若手の双璧として技量も甲乙つけがたく、大いに将来を有望されていたが、ある日突然、源三郎は破門を言い渡された。師匠の愛娘おゆき(松原智恵子)との恋愛問題が逆鱗にふれたのである。もともとおゆきがひそかに乙女心をときめかせていたのは宗達のほうであった。だが、修業一途に行いすます宗達には取りつくしまがなく、彼へのつらあてからおゆきはあっさり源三郎の誘惑に負けたのだった。源三郎とおゆきは示し合わせて江戸を逐電。重なる旅に、堅気育ちの二人も気がつくといつしか、いかさま将棋をなりわいにする浮世のあぶれ者になっていた。やくざ五郎蔵(小松方正)一家と組む源三郎の悪どいいかさま将棋に引っかかり、泣きをみる者は数知れなかった。
 はたごの主人長吉(高野真二)と五郎蔵が金主となり、江戸から呼んだ棋士と源三郎を対局させることになった。賭け金は三百両。調子に乗る増上慢の源三郎はその上におゆきを賭ける。勝負に負けたらおゆきは五郎蔵の妾にならなければならないのだ。ところが、たかをくくっていた対局者は何と宗達だった。皮肉で奇しき再会だった。源三郎は内心青くなった。赤の他人をよそおったおゆきが“封じ手”を預かり、それを源三郎に教えるという、いつものいかさまの手は通用しないのだ。源三郎に泣きつかれ、おゆきは恥をしのび、今度の勝負に勝ちをゆずってほしいと宗達に懇願。一方、将棋好きの座頭市勝新太郎)は、ひょんなとこから宗達と知り合い、ひょうひょうとして誠実味あふれる人柄にふれ、急速に肝胆相照らす。
 いったんおゆきと約束したものの、盤に向かう宗達にはうつぼつとした闘志がわいてきた。序盤、中盤と勝ち進み、終盤は翌日に持ち越された。宗達は五郎蔵一家の魔手が迫る…。