『新・座頭市 I』第18話「酔いどれ川」

原作:子母沢寛
脚本:岩元南
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
お竜:野川由美子
弥之助:村井国夫
茂助:左右田一平
鹿川の伝兵衛:平田昭彦
万蔵:綾川香
おせん:絵沢萠子
ほか



やくざ鹿川の伝兵衛(平田昭彦)は、代官のめかけのお古のおせん(絵沢萠子)と抱き合わせに朱房の十手をもらい、やっと念願の二足の草鞋を履けたものの、だからおせんにはからきし頭が上がらない。うさ晴らしに伝兵衛は居酒屋「竜井」に通いつめる。おかみのお竜(野川由美子)が目当てだ。小股の切れ上がったイキな中年増のお竜は、ひなにはまれな美人。もちろん野暮な伝兵衛など眼中にない。惚れたが因果、身もふたもない悪態にもめげず、振られても振られても伝兵衛はあきらめなかった。
 座頭市勝新太郎)はそんなお竜と意気投合。やくざ風を吹かせる伝兵衛一家の三下たちを、胸のすくような江戸前のたんかで追い散らす気っぷのよさに、溜飲の下る思いだ。飲みっぷりも見事だった。目もとほんのり桜色、飲むほどに酔うほどに愛すべきうわばみぶりを発揮、斗酒なお辞せずの市をたじたじとさせる。
 お竜は伝法なばかりではなかった。器用な生まれつきで、手なぐさみで作ったという紙人形を旅のつれづれにと市にそっと手渡すような、心のやさしい女でもあった。市は二度惚れ直す。
 とんだ恋路の邪魔者が凶状持ちの座頭市だと知り、伝兵衛はいきり立った。この際是が非でも市を斬って男を上げ、日頃さんざん小馬鹿にするおせんの鼻をあかさねばならぬ。そんな時、やくざ同士の喧嘩に巻き込まれ、傷害事件を起こして島送りになっていたお竜の亭主弥之助(村井国夫)が、恋しい女房に一目会いたさの一心で、島抜けをしたという。そして…。