吉永小百合は女優としてどうも毅然としすぎてて、いまいち感情移入しづらいというか、個人的に全く惚れ惚れした瞬間がない人なんだけど、本作だけは違った。カツシン十八番の手取り足取り口伝え演出が絶妙にハマったんだろうが、カツシン以外に吉永小百合に肉薄した監督作を撮ろうとした向きはいなかったんだろうか。本人がそういうのを拒否してしまうタイプなのかなぁ。
逆に言うと、距離感をおかないとダメなタイプの女優はカツシンをもってしてもイマイチ演じにくかったのかも。本作をじっくり見るとカツシン演出の妙味がわかってくるような気もする。