『座頭市物語』第21話「湖に咲いたこぼれ花」

脚本家に中村努氏のクレジット、本作が初めてかな?

原作:子母沢寛
脚本:高橋二三、中村努
監督:井上昭
音楽:富田勲
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
おゆき:小川知子
仙太郎:林与一
お妙:津山登志子
鳴滝の岩蔵:田武謙三
宗八:根岸一正
五兵衛:成瀬昌彦
お粂:来路史圃
ほか

井上監督はカツシンと組む際はアイデアを出しまくり、奇手妙手というかあの手この手で攻めていたらしいが、全てが成功しているとは言い難い。本作も時代劇単品として見ると、本シリーズでは珍しく、ちとダルいムードがあるかもしれない。竹竿の先に刀をまんま括りつけた急ごしらえ竹槍が一斉に突き出されたりする殺陣はアイデアものかもしれないが、爽快感には欠ける。
おそらくカツシンの即興表現に最大限に応えようとしたばかりに、いまいちまとまりがつかなくなったというか、繋ぎにくいラッシュも多かったんじゃないかなどとも推測。
…それでも、だからこそ興味深いという。やりきれていないかもしれないけど、創意工夫を凝らしてほかでは見られないものを撮ろうとする姿勢は買える。カツシンの演技や座頭市というキャラを安心して楽しみたい向きには不評かもしれず、実際、やや疲れるところもあるのだが否定しきれない。マニアックなツッコミができる作品として肯定したいかも。苦手ではあるけど、そう思うことにした。
林与一吉永小百合(!!)との競演作『新・座頭市 雪の別れ路』でも彼女をたぶらかすワルな二枚目役で再登場。そっちはカツシン演出なのでさらにやりたいほうだいヤラれてましたなw
井上監督と中村努氏の貴重な証言は今さら紹介するまでもないかもな下記作を参照なさってください。特に、中村氏の証言は最重要視されてる観あり。

天才 勝新太郎 (文春新書)

天才 勝新太郎 (文春新書)

文春はどうせなら著者に取材時の関係者への証言を加えた、全エピソード解説を依頼して発刊すべきではないか。座頭市ファンなら買うと思うけどなぁ。自分もそうだが、仮に細かな箇所で見解の相違はあってもそれを確認したいのが人情だし。