ボブ・ペック『刑事ロニー・クレイブン』

hibiky2011-11-28

3.11以後、世界中を震撼させる原発危機下にある日本国民ならば、今こそ必見のドラマ…
『刑事ロニー・クレイブン』、ついにDVD化。以下、以前に書いた記事を改訂してアップ。


かつてNHKで放映され、カルト化したBBC制作のTVミニシリーズより。ビデオでは2巻組、307分、5時間を超す社会派サスペンス巨編。
その後、再放映されず、ポニーキャニオンから“観ないで死ねるか”とタイトルよりもでっかいアオリ文句付き(爆)で出ていたビデオも、店頭では全く見かけなくなった。
上記の台詞は主人公クレイブンと、図らずも彼と道行きを共にするCIA工作員ジェドバーグ(ジョー・ドン・ベイカー)の会話から。なお、今は絶版のビデオ字幕版からの抜き書きなので念のため。

「もし、地球と人類の戦いになれば…地球が勝つんだ」
「君はどうなる?」
「地球の側につく」

…はァ? 刑事ドラマで何を大層な会話してやがんだ? などと侮るなかれ。一見ごく平凡な田舎警部、実は元対IRA秘密工作員という数奇な前歴を持つ主人公が、ある日愛娘を殺され、その死の真相を探るうち、米英の核エネルギー戦略をめぐる暗闘に巻き込まれていくという、壮大なスケールの物語なんだからして。

いかにも英国調とでも言うべき一筋縄ではいかない、ハードにして悠然とした語り口で進むゆえ、見通すのはかなり疲れるけど、一見の価値あり。

原題は『Edge of Darkness』。監督は本作で認められ、その後ハリウッドにも進出、『007/ゴールデンアイ』『マスク・オブ・ゾロ』を撮った職人派マーティン・キャンベル。脚本はミニミニ大作戦』『戦略大作戦とケイパーもの快作をモノし、本作に入魂しすぎたかその後失速、なぜか『レッドブル』(笑)のホンも書いてたりするヘンな人、トロイ・ケネディ・マーティン。撮影は当時新鋭、『英国万歳!』『がんばれ、リアム』、そしてロバート・アルトマンの『ゴスフォード・パーク』『バレエ・カンパニー』も手掛けたアンドリュー・ダン。しかして音楽は、故マイケル・ケイメンと、なんとなんと、あのエリック・クラプトン! 本作では随所で泣きのスローハンドが炸裂、ファンならコレ聴くためだけでも必見かも。
吹替キャストは以下のとおり。上記HPから転載。

ボブ・ペック………ロナルド・クレイブン(村井国夫
ジョー・ドン・ベイカー………ダリウス・ジェドバーグ(石田太郎
ジョアンヌ・ウォーリー………エマ・クレイブン(日高のり子
チャールズ・ケイ………ペンドルトン(近石真介
イアン・マクニース………ハーコート(坂口芳貞)
ケネス・ネルソン………グローガン(金内吉男
ゾーイ・ワナメイカー………クレメンテイン(駒塚由衣)
ジャック・ワトソン………ジェームズ・ゴドボルト(宮川洋一)
北村弘一納谷六朗大木民夫池田秀一

残念ながら自分は後追い、NHKで放映された吹替版は見逃してるので、今回のDVDは何とか入手したい。いま手元には字幕版の廃盤ビデオしかないので…(悔)


メル・ギブソンによるリメイクも未見なので、コチラもいずれ見ます。

刑事ロニー・クレイブン 完全版

刑事ロニー・クレイブン 完全版

追記。買いました。


ところで実は本作、あの宮崎駿も見ている可能性があり。たしか、監督の著作「出発点(1979〜1996)」(徳間書店刊)中で、本人が「深夜だかに、TBSかどこかで見た映画(だと思う)」とかで、本作らしい作品について触れているんですわ。それを読む限りでは、どうやらコレがかのもののけ姫あたりにも、どことなく影響を与えているようにも思えたりしまして、興味は尽きないんであります。どなたかカントク本人に確認して頂きたいものデス。