これぞ真正ジャズ・ロック!

クォーターマス(紙ジャケット仕様)

クォーターマス(紙ジャケット仕様)

ホントは「クェイターマス」が正しい表記。解説にも言及されていないが、かつてイギリスで人気を博したSFのTVドラマ・シリーズからとられたグループ名である*1。残念ながらモデルになったシリーズは未見だが、一聴したかぎりでは直接的な関係はなさそう。
全般にはハードロック/プログレッシヴ・ロック然とした装いだが、各所で隠し味風に本格的なジャズ流儀の演奏が入ってくるというユニークな音世界。
本作を絶賛するマーク・ラパポート氏は中学生の頃飽きるほど聴いたそうだが、なるほど、中坊魂が甦るような、すがすがしい音ではある。いかにも英国然とした諧謔や屈折よりも、「センス・オブ・ワンダー」を感じさせるというか。
キーボード主体のロックではあるが、エマーソン・レイク&パーマーみたくある意味コケオドシな大仰さとは違い、全体のアレンジは手堅くまとめられており、要所で劇的展開を遂げてみたりする、精妙緻密な構成がニクい。


*1:その後映画にもなったいわゆる「クェイターマス博士」シリーズについては「映画秘宝 怪獣マル秘大百科」の『原子人間』『火星人地球大進撃』の項目等を参照