モフセン・マルマルバフ「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」(武井みゆき+渡部良子訳、現代企画室刊)

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「(略)ついに私は、仏像は、誰が破壊したのでもないという結論に達した。仏像は、恥辱のあまり崩れ落ちたのだ。アフガニスタンの虐げられた人びとに対し世界がここまで無関心であることを恥じ、自らの偉大さなど何の足しにもならないと知って砕けたのだ。(略)」

セプテンバー11から3年。
台風通過後で蒸し暑い夜だったと記憶する。運動不足解消に汗だらだら流して、自転車で買い物がてら走り回って帰ってきて、ふっとTVをつけたら、ワールドトレードセンターが炎上していた。
たしか、2機目が突っ込んだ直後だったハズだ。番組は『ニュースステーション』だったと思う。どの局も軒並み、炎上シーンを映し出していた。
唖然とした。ペンタゴンにも旅客機が突っ込んだと聞き、戦争が始まった、と一瞬本気で信じたほどだ。そしてすぐ、考えた。これは、「対岸の火事」なんかじゃない、と。
ニュースは主にNHKとフジテレビを見ていただろうか? しばらくして、ワールドトレードセンターは崩壊した。ツインタワーは一瞬で白煙と化した。予想はついていたが、あっけなさすぎた。
気恥ずかしい物言いになるが、オレ自身のなかでも、あの瞬間、ナニかが崩れ去ったような気がする。
世界が信じられなくなった、というか……。
まぁ、暗い気持ちばかり、書き連ねても仕方ない。
こんなボンクラでも、とりあえず、人生はつづく。
最高の<セプテンバー11ソング>と信じている、ピーター・ガブリエル「The Drop(「「UP」収録」)の訳詞を書き抜いておく。個人的にはソニック・ユース「Rain On Tin」(「ムーレイ・ストリート」収録)あたりと同様、あの日からの絶望を唄った曲と感じる。これほど唄の題材となった事件は、ロック開闢以来でも未曾有かもしれない。
というより、全世界的に、「あの日」になったんだな。きょう、9月11日は。

飛行機の中を
出口に向かって進む
君は外を見下ろしている
その先に何が待ち受けているのか知ろうとして

ひとつずつ
それらが落ちていくのを君は見ている
雲を突き抜けて落ちていくのを
ひとつずつ
それらが落ちていくのを君は見ている
雲を突き抜けて落ちていくのを
どこに行くのかわからない
どこへ行ってしまったのか
どこへ行ってしまったのか

太陽が沈むのを見つめながら
僕は機内に座っていた
街の灯が
まるで脳の神経のようだと気づく

ひとつずつ
それらは消えていく
ほの暗くなっていくさまを君は眺めている
ひとつずつ
それらが落ちていくのを君は見ている
どこへ落ちて行くんだろうと思いながら
(今井スミ訳)


誰もが願うのは
お近づきになること
黄金の日々と
今やブリキに注ぐ雨
寄り集まろう
友を集めよう
怖れるべからず
二度と、決して
ソニック・ユース「Rain On Tin」