闘え、ルトガー!:『ブラインド・フューリー』

見ちゃったよ。見直すの、10年できかないなァ。
御存知カツシン主演、三隅研次監督『座頭市血煙り街道のリメイク。ルトガー・ハウアーの逆手居合い抜き、練習したのかなかなかハマっている。もちろん、勝新太郎の変幻自在なお手並みとは月とスッポンだが、頑張ってる。でも、ベトナムで現地部族が居合い抜き指南したという設定は、どうも頂けないな。ナムにあるなァ枯葉剤にナパームだけだろってぇの!<畜
あと、「この、ブラインド野郎!」ってセリフはどうよ(笑)戸田奈津子お得意の「ファック野郎!」を思い出させるまずさだぜ。まぁ、「どメクラ!」なんて地上波じゃムリなんだけどさ。カツシンの最後の89年版『座頭市』でも、メクラってセリフは出てこないからねぇ。TVでも『新・座頭市』あたりから、「見えねぇモンですから」といった言い方になってたように記憶する。ちなみに、たけしはリメイクで平然と「どメクラ!」ってカマしてたけどさ。地上波放映の時はどうするんだろ? セリフ入れ替えとかしないだろうな?

「メクラめくら、と三度、云いなすったね? 一度ならともかく、二度三度となると、我慢がならねぇ……」

もうひとつ、気になったのが、悪党ども(揃いもそろってへっぽこ)に「よぉ、座頭市!」なんて呼び掛けられるトコ。コレもよくよく考えると違和感が。『座頭市』って、アメリカでも知る人ぞ知る存在なのかね? いわゆる低収入/無教養白人、ホワイト・トラッシュ/レッドネックが見てるシャシンたぁ思えないだが(笑)まぁ、最近、輸出DVDが予想以上のヒットを飛ばしたのも事実なんだけど。盲目の剣客(でも按摩)として、世界中で知られるキャラではあるってコトかね? 
肝心の吹替だが、ルトガー・ハウアーはなんとナチさん(野沢那智。意外ながら、ハマってはいた。べらんめぇ巻舌口調は、タフガイ系な白人声ならどれでもピタリ、ってコト? いや、チビでユダヤ人なダスティン・ホフマンもこなすワケだけど。
ルトガー・ハウアーはたしか持ち役が特に決まってないと思う。寺田農による『ブレードランナー』はサイコーだったが、最近放映しないのが残念。放映権が切れたとか? 
ちなみにルトガー、もともと目が独特つうか白目系で不気味なんだが、聞くところによると色盲なんだとか。そんなハンディキャップは余り感じさせないけど、この役はそういう意味では彼には似合いの役だったかも。
評論家じみたコト云っちまうなアレだが、ルトガー・ハウアー以下B級キャストでB級アクション、構成的にユルユルなトコもあるが、それなりに笑いあり涙あり、サービスは盛り込み、わりかしイイ出来じゃないかと思う。オレは好きだね、こういうの。少なくとも、子連れ狼を志低くパクった『ロード トゥ パーディション』みたく、ゴタク並べてアクションも殺しもこれ見よがしにしか撮れない、格調ぶったつくりよりァ、遥かにマシだぁな、てやんでぇ、べらぼうめ!