『新・座頭市 III』第16話「迎え火 送り火 灯篭流し」


原作:子母沢寛
脚本:田中利世、中村努
監督:森一生
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
お涼:倍賞美津子
源次:待田京介
しげ:浦辺粂子
ゆき:須釜直美
三吉:玉木潤
久造:村松克己
旅人:中井啓輔
白玉屋親爺:北村英三
番頭:重久剛一
ほか


“仕立物致します”と書かれた木札の下がる、みすぼらしい一軒の家の軒下で雨宿りをしていた座頭市勝新太郎)は、中から一人の老婆に声をかけられた。「産婆さんを呼んできて!」と、その老婆しげ(浦辺粂子)は興奮して叫んだが、市が盲目なのを知ると、雨の中を自分で飛んで行った。家の中では臨月を迎えたしげの娘お涼(倍賞美津子)がうんうんうなっていた。産婆が来る前にお涼は産気づいた。お涼は無事に女の子を産んだ。赤ん坊はゆきと名付けられた。反物の行商人源次(待田京介)がしげの目がねにかない、お涼の婿に迎えたのだが、一年前一儲けすると言って江戸へ行ったまま便りひとつよこさず、母娘は仕立物をしながら細々と暮らしていた。雨の中を無理に旅立つ市に、お涼は、傘がわりにと仕立物を包んであった大きな一枚の布を与えた。市は、毎年お盆になると、とぼしい稼ぎの中から検約して、ゆきの養育費の足しにと、二両ずつを匿名でお涼に送り続けた。七年の歳月が流れた。ゆきは七歳になっていた。市によくなついた。そんな時、源次が帰ってきた。七年の歳月はかつての反物の行商人をいっぱしの渡世人に変えていた。まさか手ぶらでは妻子に会わせる顔がない。やくざ黒鷹の久造(村松克己)一家の賭場に上がった源次は、元も子もなくしてスッテンテン。久造に市を斬れば借金は棒引きにしてもよいとそそのかされて、源次は…。