『新・座頭市 III』第11話「人情まわり舞台」


原作:子母沢寛
脚本:中村努
監督:黒木和雄
撮影:森田富士郎
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
新三:原田芳雄
おつね:稲川順子
卯三郎:田武謙三
吉次:中村明豊
浪人:新海丈夫
酌婦:ひろ新子
追手のやくざ:小峰隆司
豊満な女:三笠歌子
ほか



盆ござの上のいざこざからしつこく芝宿の文吉一家に追われる座頭市勝新太郎)は、ある宿場で、酔眼もうろうとしたサエない中年男に呼び止められた。三年前、市は、潮来の賭場でイカサマに巻き込まれて元も子もなくした舟大工の新三(原田芳雄)に、元金を取り返してやったことがあった。金はかねてなじみの遊女おつね(稲川順子)との駆け落ちに必要な大切な逃走資金であった。酔っ払いはその新三のなれの果てであった。
 重なる旅にいつか浮世のあぶれ者、酒とばくちに身を持ちくずし、好いて好かれたおつねは、新三のばくちの借金のかたに、やくざ大町の卯三郎(田武謙三)一家が経営する女郎屋「つたや」で働かされていた。新三はその「つたや」のしがない下働きだ。人間の自尊心などとっくにどこかへ置き忘れていた。
 芝宿一家が大町一家に草鞋を脱いだ。顔を売るにはまたとないチャンスだ。卯三郎は芝宿一家に加勢を約束した。好色な卯三郎が美人のおつねに目をつけた。卯三郎は力づくでおつねに言うことを聞かせた。おつねを返す条件に座頭市の首を取ってこいと言われて、新三は…。