『新・座頭市 III』第6話「糸ぐるま」


原作:子母沢寛
脚本:勝新太郎、山田隆之
監督:勝新太郎
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ



座頭市勝新太郎
野鶴の彦太郎:緒形拳
お米:倍賞美津子
深野の岩五郎:秋山勝俊
庄屋徳兵衛:高原駿雄
源七:市川好朗
旅籠の爺:北見浩一
おくみ:衣麻遼子
女衒:暁新太郎
やり手婆:日高綾子
子分:藤田駿
ほか


*以下、放映された本編とは違う内容。BSフジにアップされたあらすじ。現在も詳細不明。

不作が続き、庄屋徳兵衛(高原駿雄)に納める年貢の金の算段がつかず、農民の娘お米(倍賞美津子)は一家の犠牲となり、泣く泣く身売りした。庄屋屋敷が、風のように現れた無法者野鶴の彦太郎(緒形拳)一味に襲撃され、多くの農民たちの血と汗の結晶である上納金が強奪された。庄屋と野鶴の彦太郎はグルだ。徴発した金を着服するために強欲な庄屋が考えた奸策だった。あまりの悪辣さに座頭市勝新太郎)の体中の血が逆流した。市は彦太郎の片足をたたっ斬った。本来ならば即座に息の根を止めたいところだが、悪人ながらも彦太郎には、不思議な人間的魅力があった。
 一年経った。信州追分宿の茶屋はたごで、市は春をひさぐお米にめぐり会った。少女の頃の可憐なお米を知っているだけに、自堕落な挙措がすっかり身についたお米が、市には悲しかった。同じはたごには、隻脚の彦太郎が廃残の身を、お米に養われていた。奇しき運命の糸に操られ、浮世のあぶれ者同士が、過去の恩讐を忘れ、肩を寄せ合って生きているのだ。市に足を斬られたために斬ったはったの修羅の世界から足を洗え、かえって今の落魄の境涯に感謝していると話す彦太郎の述懐には、皮肉なひびきはなかった。
 三十五両の前借がかさみ、無理矢理お米は住み替えさせられることになった。彦太郎は深野の岩五郎(秋山勝俊)に届けてほしいと、市に一通の手紙を託した。
 岩五郎は彦太郎の一の子分だった男で、文面は三十五両の借金の依頼だ。手紙を読んで岩五郎は一人ほくそ笑んだ。彦太郎の首には三百両の賞金がかかっていた。二足の草鞋をはき羽振りのよい岩五郎は、昔の恩も忘れて彦太郎を召し捕った。「あんたが売ったのね。人でなし!」お米は市に憎悪の限りの悲痛な罵声をあびせた。唐丸駕籠に乗せられ彦太郎は江戸送りと決まった…。