『新・座頭市 II』第19話「めの字の置きみやげ」(最終回)

原作:子母沢寛
脚本:村尾昭勝新太郎
監督:小林正雄
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
お春:友加代子
定八:渡辺篤史
寅松:小田部通磨
吉五郎:原口剛
キク:小谷真貴子
庄屋:中村錦司
三太:下島哲也
為吉:浜田雄史
女房:近江輝子
太吉:安藤由紀夫
ゆき:植田純子
ほか

馬方の少年三太(下島哲也)と妙にウマが合い、その縁で座頭市勝新太郎)は三太の“おっ母ちゃん”お春(友加代子)の家にやっかいになることになった。“おっ母ちゃん”といってもお春はまだ十六歳の花も恥じらう乙女だ。若い娘の身空でお春は三太のような孤児の少年少女を大勢拾って育てていた。遊びたいさかりの少年ながら一番年かあの三太は自分から進んで馬子で働き、苦しい家計を助けているのだ。
 市にはりんとしてけなげなお春が、悲母観音もかくやと思われた。だが無情な村人たちは孤児たちを白眼視し、村の風紀が乱れるとことごとにお春につらく当たった。若い農民の定八(渡辺篤史)だけがお春の味方だった。定八はお春に惚れていたが、気が弱くてなかなか言い出せないのだ。わんぱく小僧やいたずら者揃いだが、親がなくても元気で邪気のない子供たちに囲まれていると、お天道さんと一緒にいるような気がして、重なる旅に荒れた市の心も自然となごんだ。
 子供たちの一人キク(小谷真貴子)が高熱を出した。八方手を尽くしたが、治療費の算段がつかず、思いあまったお春は、行きずりの旅人矢板の吉五郎(原口剛)に身をまかした。誰がお春をせめられよう。吉五郎は寅松(小田部通磨)一家に草鞋を脱いだ。寅松がお春に言い寄って無様に振られっぱなしだと知り、吉五郎は一人ほくそ笑んだ。お春が身を切られる思いで操を汚したのを合意の情事だと言いふらし、寅松の嫉妬心を利用して恨み重なる座頭市を斬らせるのだ!