『新・座頭市 II』第18話「こやし道」

題名からして今ではあり得ないような、土臭を感じさせて味わい深い(実は洗練された、粋で洒脱な一篇なんだけど)
モリシゲからもカツシンからも愛された藤岡琢也の飄然とした風情はいつ見てもいい。タイちゃんに「ムコどのっ!」も絶妙客演。傑作。

原作:子母沢寛
脚本:犬塚稔
監督:太田昭和
音楽:村井邦彦
制作:勝プロ/フジテレビ


座頭市勝新太郎
龍紋徳の徳之助:藤岡琢也
清次:和崎俊哉
信海:殿山泰司
梅:片橋久美子
お兼:菅井きん
きよ:田中筆子
ほか


犬塚稔御大は『座頭市物語』で市のキャラクター造型に一役以上を買った人物。戦前から活動する時代劇の生き字引的存在で、100歳も超える長命を保たれたが、残念ながら他界された。
御大は自らも創造に関わったと自負する「座頭市」というキャラクターが、勝新太郎その人と化していってしまうことには批判的立場をとっていた方。脚本を渡した後は御自由に…というワケではなかっただろう。正直言って御自身としてはおそらくは(御自身はともかく他の方なら当たり前のように)カツシンによって現場で直しが入るという事態に片腹痛い面があったのではないか、と憶測。というか、この後、勝(と犬塚氏は年長者だけにドキュメンタリーではかなり強い口調で呼び捨てにしていた)には脚本を書いていない。新藤兼人も同じく、第3シーズン第1回以降は書いていない。