アラン・アルダ「遅すぎたら死ぬことなど忘れるよ」@『ER/緊急救命室VI:わが道』

名場面に名台詞が多すぎる『ER』でも個人的に最も泣けた台詞。


ER 緊急救命室 VI ― シックス・シーズン DVD コレクターズ・セット

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あえて前後のエピソードは説明しません。

ケリー・ウィーヴァー(ローラ・イネス)「どこにいらしたの?」
ガブリエル・ローレンス(アラン・アルダ)「湖畔を歩いてきた」
ウィーヴァー「心配しましたよ…」
ローレンス(それには答えず)
世界への絶望が頭をもたげると 私はオガモが羽を休め アオサギが餌をついばむところへゆき 我が身を横たえる そこにはあらゆる物事の上に 将来の憂いも人生の重荷もない 憩いがある 目前に静かに横たわるよどみ そしてまばゆいばかりの昼の空に隠れて 夜を待つ星たち このひととき 私は心安らかに平和を得て自由になる
(溜息をついて)
「…30年前に覚えたウィリアム・ブレイクの詩を暗誦できるのに、さっき診察したくるぶしを捻挫した女性を思い出せない。
異常に気づいたのは1年ほど前だ。お決まりの物忘れに…言葉に詰まってねぇ…友人の脳神経外科医に診てもらうためにボストンへ行った。そしたらペットスキャンで両側(りょうそく)の頭頂部への血流現象が見られた。アリセプトを服み始めたよ。この薬でアルツハイマーの進行を止めるはずだったんだが、どうもこの様子では効果がない」
ウィーヴァー「総合痴呆センターでロス・チャンの研究が成果を挙げているので、彼女に会われるといいわ」
ローレンス「何のために? 進行性神経障害だよ?」
ウィーヴァー「そこでは神経親和薬と抗酸化薬の研究が行なわれているので臨床試験を受けられたら?」
ローレンス「自殺しようと思ってた。ハハ……でも、時期の判断が難しい。早すぎたら残り少ない人生を楽しめないし、遅すぎたら死ぬことなど忘れるよ
ウィーヴァー、思わず号泣。
「…そんなことおっしゃらないで…!」
ローレンス「医学を離れたらさびしいだろうなぁ。医学は私の生き甲斐だった」
ウィーヴァー「いいえ。いつまでも続けて、先生! 医学生やレジデントが教えを待ってます」
ローレンス「診療はお断りか?」
ウィーヴァー「あなたは立派なドクターであり、有能な教師なんです。お願いです、その才能を無駄にしないで」
ローレンス「今朝、女性を診たんだ。彼女は痴呆症で自分がどこにいるのか、誰なのかもわからなかった。やがて、私もそうなる。寝たきりで、おしめをして、どこかの施設へ入れられて、誰も会いに来ない」
ウィーヴァー「私が会いに行きます」
ローレンス「…でも、私には君だとわからないよ?