『座頭市物語』第26話「ひとり旅」(最終回)

時代劇史に残る名シリーズだった『座頭市物語』。最終回ゲストは義父・中村鴈治郎竹脇無我由美かおる中尾彬。故郷も安住の地とならぬ宿命(さだめ)を背負う凶状持ちの悲哀が痛切に。座頭市シリーズでは三隅研次とのコンビはこれが最後になってしまった意味でも、見終えてからさみしくてたまらなくなる一作。エンドクレジットにまで才気がほとばしっているだけに惜しんでも惜しみ足りない。三隅監督の代名詞、他の追随を許さぬ殺陣に関しては意外にやや抑えぎみな気配もあるが、それもまた奥ゆかしく。
本シリーズ後もいくつかの作品でフィーチャーされるが、冨田勲の音楽も一応、この最初のシーズンのみ。『新・座頭市』での村井邦彦との劇伴の違いを見て取るのも面白い。主題歌が変わるだけで随分と装いも変わった気になる。カツシンはとにかくマンネリを忌避、ありきたりの変化を望まなかったんだろう。