八木美知依&エリオット・シャープ@渋谷公園通りクラシックス

八木美知依さん公式サイト:http://www.japanimprov.com/myagi
エリオット・シャープ公式サイト:http://www.panix.com/~esharp
19時前に会場着。ミクシィ八木美知依さんコミュでお知り合いになったk747さんと早速お会いし談笑。
開演前、タイミングを見計らってマーク・ラパポートさんに御挨拶。わざわざこのはてなダイアリーまでチェックして頂いたそうで、恐縮しきり。1992年4月号開始以来、来年連載15年目突入という<じゃずじゃ>、コレからも末永く読者でいたいものです。
もっとも、開口一番、「変なヒトじゃなくてよかった〜♪」と言われたのには、思わず笑ってしまいましたが(爆)まぁ、内面は充分奇人変人ですが、外見は極めてジェントルです、ハイ。
客は大体20〜30人といったところか。山手教会下のガレージを入ったところにひっそりとあるハコだが、中は意外やゆったりしてて気持ちよかった。


八木さんの挨拶でライヴ開始。エリオット・シャープはかつて見たことのない形状の一見セミアコ風なギターを抱える。あとでマークさんにお教え頂いたのだが、完成したばかりのシャープ氏独自開発、世界にひとつしかない最新型、ラップトップとも連動する、エレクトロ・アコースティック・ギターだそうです。昨年5月15日、N.Y.ダウタンタウン・イシューというギャラリーで八木美知依さんと競演*1した際に使ったギターと似たものらしい。タッピング、ハンマリングといった指ワザはもちろん、金属棒をゆるめに張った弦の間に突っ込んだり、いろいろ小道具も使いつつ、奔流のごときノイズを放出。時折耳をつんざくほどの高まりも見せるが、ある意味、箏以上に箏のような繊細で優美な音を八方無尽に奏でるのには驚かされた。大泉学園インエフで聴いた鬼怒無月さんとは当たり前ながらまるっきり違うスタイル。不協和音を駆使しながらも、空間を独自色で満たすダイナミズムに満ちているというか。御本人はトレードマークのスキンヘッドに粋に帽子をかぶり、微笑などしながら終始冷静沈着たるたたずまい。カッコいい!


八木さんはジャケ写以外で初めて見るスカート姿。渋谷公園通りらしく衣裳もキメられたということか。チャーミングで似合っていらっしゃいました。演奏はのっけからいつになく手数多めでパッセージも速いはやい! 小道具(?)の使い方も多種多彩、刻み目を入れたスティックで弦を叩いたりこすったり、弦の間に挟んで弾いたり。スプーンを2本挟んで金属質な音を出したりも。確認できなかったが、エフェクターで一部変調させてもいたような。こういう時、機材に関しても基礎知識くらいは仕入れておかないといけないと痛感。記憶では、弓で弦をこするワザは少なめだったかも。
お互いに目を見交わしたりはせず、音を聴きあうというより、同時に出しあって、打々発止とクロスさせる風情の即興演奏が続く。1曲の間はそれほど長くなく、長くて10分くらいだったろうか。
休憩を挟んで、二部は八木さんは十七絃*2の前に腰をおろし、静謐な曲を奏でる。座って演奏される姿は1996年フレッド・フリスのライヴに客演された際、初めて見て以来かも? 
手を変え品を替え、箏は箏と思えぬ、ギターはギターと思えぬ、世にも稀なる音空間が創出され、夢見心地に。常連らしい客のおひとりは「泣けてきた」と感動を語られていたが、それほど美しく世にも稀なる音世界が聴けたということだ。最後のナンバーはシャープ氏の「軽いものやろうか?」みたいな一言と共に、アルバム「Seventeen」から「The Bicycle Ride」「Deep Green Sea」から抜粋風に静かな演奏がされた。


おそらく1時間半ほどでライヴ終了。シャープ氏がN.Y.から持参されたというレアなアルバムの数々を見せて頂き、マークさんがオススメしてくれたギターソロによる一枚と、スイスで録音されたという「Anostalgia」(+Reinhold Friedl)をk747さんと一緒に買う。この日、受付に並べられていたシャープ氏の作品はジャケットがどれも素晴らしかった。マークさんからデジパックはじめ昨今のCDのジャケットについての話をうかがったり。紙ジャケタイプは海外でも薄手で場所をとらないこともあって、増えてきてもいるようだ。一般的なジュエルボックスは厚手でかさばるので、送料もかかってしまったり、コストも問題もあるらしい。
思いつくままにかねて質問してみたかったコトもうかがってみる。広島弁の由来は広島に長く住んでおられたからだとか、そういったつまらないコトから、桜井英顕のコトとか。『子連れ狼』の映画音楽で知られる夭折の天才箏奏者・桜井英顕は70年代、新宿ピットインなどで連日ステージに立つなど、知る人ぞ知る活躍をしたのだが、残念ながらあまり音源は残っていない。数年前に出た「御用牙/子連れ狼」は廃盤で、今は海外盤しか入手できない模様。残念! *3
帰り際、八木さん御本人にも御挨拶。ライヴ雑感とディスコグラフィもチェックして頂いたようで、恐縮しきり。1996年にフレッド・フリス+クリス・カトラー+一噌幸弘氏と競演したことも確認させて頂けてひと安心。
もともとがデータ作成を稼業にしていた人間なので、今後もコツコツと調べがつく範囲ではありますが、八木さんのライヴ記録などもまとめてみたいと思います、ハイ。データなんていうのは、どなたかのお役に立ってナンボですから。。。
26日、六本木SuperDeluxeでのVortex(武石務&永井晶子)との競演も今から楽しみ!


*1:ミュージック・マガジン」2004年7月号参照

*2:手前が十七絃箏、奥が二十絃箏だったみたい。

*3:ちなみに、八木さんは桜井英顕の演奏は「やや八方破れに過ぎるかも?」といった感じの評価をされているそうな。「競演して欲しかったですねぇ」とマークさんに言うと、「いやぁ、喧嘩になっちゃったかもよ?」と笑われた。