岩明均「七夕の国」

「能力ってのはあくまでも『手段』に役立てるための『道具』なのであって、『目的』そのものじゃない」

リアルタイムで読んでいたせいか、「寄生獣」よりも思い入れはある作品。岩明均はストーリーや設定は図抜けているんだが、語り口がぎこちない、というか、妙に「間が空く」トコが目立つ人。平凡な人間がある日突然、“超”能力をもって(もたされて)とまどうという展開なのだが、その「とまどい」をあえてぎこちなく、言いよどむように描くことに固執しているような、妙な僻が目立つ。もちろん、それが「味」にもなっているのだが、正直、物語自体の凄みを若干消してしまっているようでもあり、ナンとも歯がゆい。コマ割りがやたらTVドラマ風の単調なカットバックになってるのも気になる。宮崎駿が強弁してたように、アニメーターもマンガ家も「どうしても自分が描きたいモノを描く」ワケだからいたしかたないのかもしれないが、いっそ原作者だけに専念するというのはどうか?
「ヘウレーカ」もなんだか尻切れトンボつうか中途半端な出来だったし。惜しい才人なり。