大木実『子連れ狼 三途の川の乳母車』

「わしの首が、哭いてるように聞こえる…首袈裟に斬った斬り口が、木枯らしのように鳴るのを虎落笛(もがりぶえ)と言うそうな。いつか、そんな音が出るよう斬ってみたいと思ってはいたが、おのれの首で聞こうとは……笑止!」

ばたッ(倒れる)、どばーッぶしゅぅぅぅー(血糊全開の音)。 *1
誰が呼んだか、マカロニ・チャンバラ一大巨編、トミー・ワカヤマこと若山富三郎主演『子連れ狼』全6部中、最高傑作の呼び声高いシリーズ第2作。剣劇を撮らせれば世界一の鬼才・三隅研次が原作劇画を超えるテンションで、これでもかッ! とばかりに繰り出す、あの手この手の大殺陣。いま見ると一部やりすぎか、と思える箇所もあるにはあるが、なぁに、カツドウヤって言うからにゃ、客に引かれるくらいトコトンやってナンボやねん!
本シリーズを見て衝撃を受けたロジャー・コーマンが再編集版『ショーグンの暗殺者』(訳題)をつくって全米公開、サム・ライミ、はたまたクエンティン・タランティーノら一部映画青年の熱狂的支持を得たしたというのは、あまりに有名なエピソード。香港ではツイ・ハークが熱狂的ファンらしい。
なお、トム・ハンクス主演、サム・メンデス監督『ロード トゥ パーディション』は本シリーズに材をとったアメコミの映画化と聞くが、個人的にはアレは『子連れ狼』という世界劇画史上に残るであろう名作を汚した愚作にして大駄作と思う。おためごかしもたいがいにせぇ、ってな、根性腐ったヤツが撮ったいぎたねぇ作品や、アレは!


*1:暗記してましたわ、この台詞(笑)