ドナルド・プレゼンス『テレフォン』

「森は美しく、暗く、深い。だが、約束を果たし、眠りにつくまで、道はまだ遠い。思い出せ、眠りにつくまで、道はまだ遠い……」*1

チャールズ・ブロンソン主演&ドン・シーゲル大将による傑作スパイ・アクションから。電話口、いきなり重苦しく沈みこむような口調で語りかける怪優ドナルド・プレゼンスの不気味さ、夢に見そうなほど。なんでもない公衆電話ボックスが突然、テロ秘密指令装置と化す、奇々怪々なる物語設定の妙、素晴らしきかな。全編ひたひたと、静かな狂気に満ちたかのごときサスペンスフルなタッチで続きながら、オチではいきなり、「おッ、アメリカン♪」なんてムードで幕引き。このへんが「粋(イキ)」なんだよなぁ。70年代アクションって、どうしてこうも愉快痛快なのかしら。


*1:たしかこれ、ロバート・フロストだかの詩の一節のハズ。映画中でも語られてた気がする。