ジャック・ブラック『スクール・オブ・ロック』

見る前から本年度ベストワン確実と決めてました。期待を裏切らぬ愉快痛快作。まぁ正直、予想以上にずいぶん上品な装いだったんで、ロックファンも映画ファンもコア度が高まるほどツッコミどころは満載というところだろうが、ぶっちゃけホント、コマいことカタいこと考えて見るシャシンなんかじゃないんだよね。*1


オレ自身はパンフレットに寄稿された中原昌也さんの文章にいちいち強くうなずきまくったのであった。

「恥ずかしさなどというものを乗り越えたものこそが『真実』である」
(略)「競争を焚き付け、そこで勝利することのみが生きる意味だと押し付ける社会に、ロックの様式美という不条理によって感情をぶつけるのがわれわれに残された最後の抵抗なのである」

うんぬん。
ううむッ! 日頃オレの身中にモヤモヤしてた気持ちを的確に代弁して下さっているようで、勝手に感謝感動であります! いつにも増して名言連続、けだし名文と思います、ハイ。
あ、ネット界一番人気評者、m@stervision氏も書かれてましたが、ホント、満杯の観客のなかで見るべきシャシンだと思います。客席に人が少ないと、どうしても笑いもおとなしめになりがちなんで、ノリの良さそうなネェちゃんにィちゃんが集う日に見に行きましょうぞ! いやぁ、見に行ってよかったぁ。
そういや、いま思い出した。数年前、テレビ朝日系で深夜に『金髪先生』ってやってたじゃん? 叫ぶ詩人の会の兄さんがロックの名曲の歌詞解説をするってヤツ。ジャック・ブラックよりネタは早かったんじゃねぇかって。あの番組、なにげに大好きだったんだが、ここらで復活してくれんかね? 『金髪先生inスクール・オブ・ロック!』、なんてな。


*1:監督のリチャード・リンクレイターは青臭い文学青年趣味がありすぎというべきか、いつもこまごまと警句めいたフレーズを詰め込んだりして、やや頭でっかちな趣きがある映画作家なんで、オレは苦手。本作はとにかくジャック・ブラックが相棒の脚本家マイク・ホワイトのよくできたストーリーにのかってやり放題、出ずっぱりの独壇場で、ほとんどワンマン映画の勢いで暴れまくりなのが個人的にはサイコーで。リンクレイターが自分の作家性を前面には出そうにも出せなかったあたりに成功の要因ありと見ている。監督側の趣味全開なシーンは編集で削ったりしてるんじゃないかなぁ?