ジョン・ブライオン「Meaningless」

祝『パンチドランク・ラブ』DVD化! 遅ればせながらPTAの音楽上のパートナー、ジョン・ブライオンの01年発表のソロ作を買ってきた。発売当時も試聴はしたが、そのときはボーカルがやや甘めか、と思い、買うのを保留。数があまり輸入されなかったのかどうか、やがてタワレコ等大型店の店頭からも姿を消し、以来数年余を経て、本日HMVにてようやくのこと入手した次第。
いやいや、メチャクチャいいじゃないっすか! 驚きました。夕食にスパゲティつくろうとお湯湧かしながら聴いてたら、ついつい聴き入ってしまって、鍋が空焚き寸前になったくらい。
聴き進むに従って、いくらでも語りたいことが出てきてしまう、開けてビックリ玉手箱なめくるめく音世界。基本的にはセンチメンタルで甘〜い歌曲ながら、音使いのセンスがずば抜けているせいか、腰が据わったアラベスクにしてロマネスクな音響空間が、かろやかに、かつみっちりと具現されている、つうか。低音は随分ぶっとくビンビン来ながらも、上メロはどこまでも甘やかに、まさしく万華鏡のごとく、キラキラひらひら、流離華麗だったりして。
その玄妙なる曲調は何と言うか、ブライアン・ウィルソンビートルズの最良部の絶妙なるミックスか? なんて評するは見当違いかもしれないが、間違っててもそう吹聴したくなるほど、かぁいらしぃ素敵な曲が並んでるんだ、コレが。ファンシー系。
「バウンス」サイトのレビューだったかに、「かのベックもうらやむ才能」なんて評が書かれてたが、ベックよりずっとオーソドックス路線だし、なによりヤツには書けない泣かせる曲を書くと思う。ベックも武道館ライヴに行ってるし、かなり好きだけど、正直、彼はクールすぎて感情移入できない面あり。たたずまいがいかにもアーティスト然としてるんだよな。そこいくと、このジョン・ブライオンなる男、幾多のプロデュースからセッションワークから、地味系仕事もいとわない職人肌を感じるから、思い入れは強まるばかりって感じで。
いやぁ、買ってよかった、久々に、「いまオレは猛烈に感動している!」((C)梶原一騎