TVがオレの名画座だった・第1回

<原体験系>1986〜1990:その1[サスペンス]
1.『新・ヒッチコック劇場/小指切断ゲーム』ジョン・ヒューストンキム・ノヴァク
2.『盗聴/カンバセーション』フランシス・フォード・コッポラ
3.『妖精たちの森マイケル・ウィナーマーロン・ブランド
4.『雨の訪問者ルネ・クレマンチャールズ・ブロンソン
5.『探偵<スルース>』ジョゼフ・L・マンキーウィッツ
6.『トリプル・クロス』テレンス・ヤング
7.『ビッグ・ボス』スティーヴ・カーヴァー
8.『真夜中の処刑ゲーム』ポール・ドノヴァン&モーラ・オコネル
9.『新ウィークエンド』ピーター・カーター/ハル・ホルブルック
10.『ブレーキング・ポイント』ボブ・クラーク/ボー・スヴェンソン

連日勝手に続けてた劇場公開作品ベストテンだが、アレはあくまで前フリ、本題はこれから(笑)。
深夜映画を見るようになったのは中学校3年生の頃から。0時前になるや、台所の小さなTVの前に陣取り、いちおう勉強中とウソつくために参考書等を広げ、家族の目を盗んで『11PM』『トゥナイト』、はたまた『おとなの子守唄』(爆、サンテレビ系)だのを見た後、惰性でぼーっと夜明け近くまで深夜映画を見るのが習慣になった。
上記リストは中高時代、思い出せる範囲で書き出してみた、ぜひとも再見したい記憶(だけ)に残っている10本(原体験系ベストテンに入れた5本は外した)。オレの知るかぎり、DVD化されてても吹替版は収録されてないし、今後どこかで放映されないかぎり幻の作品ばかり。まぁ、あえてマニアックな作品ばかりチョイスしてみたんだけどさ。字幕版のビデオじゃ雰囲気出なくてダメ、やっぱ吹替じゃないと! 
当時はTV放映の洋画は吹替版が当たり前、NHK教育でやるような名画よりもB級モノで拾い物がゴロゴロあった。オレは時代劇育ちのうえに歴史マニアな性(さが)ゆえかどうか、物心ついて以来の懐古趣味。おかげで同世代よりも多少幅広いジャンルをフォローできたような気がする。
コメントつけだすとキリないんだが、そもそもオレが映画に夢中になるきっかけとなったのはヒッチコックであった。テレビ愛知テレビ東京系)でやってた『新・ヒッチコック劇場をふとしたことから見始めたのをきっかけに、折よく、淀川長治先生日曜洋画劇場で5週連続だかでヒッチコック特集をやり、それで見事にハマった。
ヒッチコック作品はたいてい家族みんなでTVが置いてあった客間に集まって見た。父親は若い頃に見た『鳥』の恐怖体験を語り、「ヒッチコックは音楽が怖い」と付け足した。もっとも、そんなオトンも一緒になり、『サイコ』を見たのはいいが、ラスト、あまりのあまりさに家族4人全員硬直状態(笑)。巻き戻ししようとしたオレに、オトン、「こんな気色悪いモン、何度も見るな!」と一喝。よほど不気味で、怖かったらしい。『小指切断ゲーム』はウケまくったんだけどな。
そのほか、放映されるヒッチコック作品は全部録画して見まくった。製作順に、『逃走迷路』『疑惑の影』『見知らぬ乗客』『私は告白する』『ダイヤルMを廻せ!』『裏窓』『ハリーの災難』『知りすぎていた男』『めまい』『北北西に進路を取れ』『サイコ』『鳥』『トパーズ』『フレンジー』『ファミリー・プロット』など。今ではもちろん全作DVD化されたハズだが、吹替版はなんと唯一『泥棒成金』だけ収録という寂しさ。畜生、テープを全部残しておけばよかったな……。
(つづく)