いちおう就職後のベストテン:1994〜1998

大学は伝統に則り(笑)1年留年、5年生になってから働き始めたバイト先の小さな宣伝会社兼編プロにそのまま入り、出向先の老舗出版社でへっぽこ社員生活を形ばかり。
間違い始めた人生、映画だけは相変わらずふんだんに見たが、曲がりなりにもゼニもらって日々の生活するうちに、映画の見方は徐々に変わりはじめた。
御大層な映像理論だのリクツだの並べ立てて撮った説教臭い、人生問答めいた、頭でっかちな代物よりも、現実社会に真っ向からナナメからいろんな形で挑むような、それなりに「ナマ」な感覚がある作品を好むようになった。「映画のための映画」じゃなく、どっちかといえば「世の中にケンカ売る映画」に興味がいくようになったってことかな。
そういう意味でも、当時最後の絶頂期だった香港映画の融通無礙ぶりは、視聴覚以前に胃腸直撃するような脂っこい感じがたまンなかったな。
アメリカ映画もタランティーノ・シンドロームとやらで、従来のハリウッド金満大作にはない、ローテクな脚本&アイデア勝負の小品にオモロイのが出てきた感じで新作チェックが楽しかった。
ヨーロッパはヨーロッパで、例えばフランスでは、レオス・カラックスジャン=ジャック・ベネックスリュック・ベッソンの<御三家>が跳梁した80年代を経て、90年代、徹底娯楽路線で唯一生き残ったベッソンを軸にベッソン・シンドロームとでも呼ぶべき、動くバンド・デシネ(=マンガ)風、ヴィジュアル感覚満載、アメリカ映画にないニュータイプのアクション&サスペンス娯楽作が出てきたり。
おそらくこの90年代の映画がオレにとって今後も超えることなく、一番リアルタイムで享受した作品群ということになるだろう。仕事柄、洋画新作や海外の俳優だののデータをチェック/作成してたので、イヤでも情報だけは頭にこびりついたし。てめえのベストテンが年々どんどん個人的な趣味に走ったのは、仕事の反動もあるな。
あ、あとオレ的映画体験では、映画秘宝の登場も非常に大きかった。今年から思うところあり買うのをやめたが、町山智浩さんが仕切った一連のムックにはかなり影響を受けました。まぁ、てめえの趣味にぴったり合致したせいもあるんですけど、このネタについてはいずれまた。



アメリカ]
1.『カジノ』マーティン・スコセッシ
2.『ストレンジ・デイズ−1999年12月31日−』キャスリン・ビグロー(脚本:ジェームズ・キャメロン
3.『ボディ・スナッチャーズ』アベルフェラーラ
4.『ロスト・ハイウェイデイヴィッド・リンチ
5.『身代金』ロン・ハワード
6.『セブン』デイヴィッド・フィンチャー
7.『デッドマン』ジム・ジャームッシュ
8.『ショート・カッツ』ロバート・アルトマン
9.『愛・アマチュアハル・ハートリー
10.『パルプ・フィクションクエンティン・タランティーノ
次点:『野獣教師』ロバート・マンデル



[香港+アジア]
1.『楽園の瑕ウォン・カーウァイ
2.『ドラゴン・イン 新龍門客棧』レイモンド・リー/ツイ・ハークチン・シウトン
3.『チャイニーズ・オデッセイ』チャウ・シンチー
4.『太陽の少年』チャン・ウェン
5.『野獣特捜隊』カーク・ウォン
6.『推手』アン・リー
7.『憂鬱な楽園』ホウ・シャオシェン
8.『豚が井戸に落ちた日』ホン・サンス
9.『青い凧』ティエン・チュアンチュアン
10.『ムトゥ 踊るマハラジャ』K・S・ラヴィクマール



[ヨーロッパ]
1.『ユリシーズの瞳テオ・アンゲロプロス
2.『イルマ・ヴェップ』オリヴィエ・アサイヤス
3.『ひとりで生きる』ヴィタリ・カネフスキー
4.『憎しみ』マチュー・カソヴィッツ
5.『メフィストの誘い』マノエル・デ・オリベイラ
6.『ブラス!』マーク・ハーマン
7.『哀しみのスパイ』エリック・ロシャン
8.『ザ・ブロンド』セルジオ・ルビーニ
9.『ニルヴァーナ』ガブリエレ・サルヴァトレス
10.『ピアノ・レッスンジェーン・カンピオン



[邦画]
1.『キッズ・リターン北野武
2.『もののけ姫宮崎駿
3.『ガメラ 大怪獣空中決戦』金子修介
4.『シャブ極道』細野辰興
5.『女優霊』中田秀夫高橋洋
6.『ビリケン阪本順治
7.『居酒屋ゆうれい』渡辺孝好
8.『全身小説家原一男
9.『おかえり』篠崎誠
10.『Love Letter』岩井俊二